「監察医 朝顔」「おっさんずラブ」「家売るオンナ」の共通点 ドラマ界に異変
実は男社会ではないテレビ業界
特に映画の世界では、プロデューサーが俳優や監督を指名する。総責任者だから必然的に年齢が高くなるわけだ。一方、テレビドラマ業界では、それに逆行している。
「昔のテレビ業界は、プロデューサーと筆頭ディレクターは兼任することも珍しくなかったのです。それが次第に分離するようになった。最近では撮影現場のリーダーであるディレクターは俳優に睨みをきかせるためにベテランを活用し、プロデューサーは芸能事務所への当たりも柔らかく、しがらみのない若い女性を起用するようになっています」(同・幹部社員)
近ごろのプロデューサーは、厳めしい“総責任者”というよりも、“サービス業”という表現がぴったりの仕事内容だという。
「出演者に気持ち良く演技してもらうこと、遅筆の脚本家を怒らせないように急かすこと、自局のバラエティや情報番組を担当するプロデューサーとの番宣折衝など、ありとあらゆる仕事にきめ細かな心遣いが要求されます。こうなると偉そうにふんぞり返っている、がさつな男性プロデューサーより、何かと気が利く女性プロデューサーの方が、はるかに仕事はうまくいきます」
ベテランの男性プロデューサーだと、どうしても配役にしがらみが生じてしまう。大手芸能事務所との折衝は必須と言える。だが、若い女性プロデューサーは、まさに“人気本意”でキャスティングを組むという。
「視聴者代表という立ち位置に、プロのセンスを加え、それこそど真ん中の配役を行います。29歳の貴島プロデューサーでなければ、『おっさんずラブ』で田中圭さん(35)を連続ドラマの主演にしようとは考えなかったでしょう。たとえベテランの男性プロデューサーが思いついたとしても、過去のしがらみから、なかなか難しかったと思いますね」(同)
先に紹介したマイナビニュースの対談は「後編」で、「プロデューサーというと、チームを統率しているイメージですが」という質問に対し、小田・貴島プロデューサーは、こう語っている。
《小田:現場のみんなが私のために働いているなんてこれっぽっちも思わない》
《貴島:みんなが楽しそうにやっているのが一番うれしいなぁと思います》
更に「まだまだ男社会と言われるテレビ業界ですが、お2人が担当する現場で女性進出は進んでいますか?」という質問には、以下のように答えた。
《小田:日テレは女性が多いですね。女性の監督もいますし、カメラや音声など技術さんは男性が多いですが、アシスタントには女の子もいますしね。
貴島:女性進出が進むというか、すでに当たり前という印象です。テレビ朝日のドラマ部は内山聖子さんや三輪祐見子さんという女性のスタープロデューサーがガンガン引っ張ってくださっていて、後輩たちはそれに続け!みたいなところもあると思います》
「そもそも女性プロデューサーといえば、例えばTBSなら石井ふく子さん(92)や、『男女7人夏物語』(86年)を制作したのは武敬子さん(89)が有名です。『男女7人』は明石家さんまさん(64)と大竹しのぶさん(62)が共演し、結婚のきっかけになりました。ですが、これほど若い女性プロデューサーがどんどん活躍する時代が来るとは、昔なら考えられませんでした。ドラマ界にも女性活躍の時代が訪れたということでしょうか」(同)
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