専門家も驚く「焼肉きんぐ」「安楽亭」の盛衰 同じ価格帯でなぜかくも差が付くのか

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共に“焼肉業界”大手

 焼肉チェーン店のシェアをご存知だろうか。例えば@niftyニュース編集部は2017年9月15日、「焼肉チェーン店の人気ランキング 1位 牛角、2位 安楽亭、3位 叙々苑」という記事を掲載している。

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 記事ではシェア率が紹介されており、1位:牛角(48・3%)、2位:安楽亭(29・3%)、3位:叙々苑(20・0%)となっている。

 次に、東洋経済ONLINEが19年8月1日に掲載した「『A4雌牛』の焼肉チェーンがじわじわ伸びたワケ うたい文句は『コスパ日本一の焼き肉専門店』」(フリーライター:圓岡志麻)を見ると、以下のような記述がある。

《なお、焼き肉のチェーンでは、店舗数トップは牛角で約620店舗。2位以下は焼肉きんぐ約220店舗、安楽亭は約180店舗》

 niftyの記事で焼肉きんぐを探すと、7位でシェアは4・6%となっている。2つの記事は計測方法などが異なるため、単純な比較はできない。だが、焼肉きんぐが伸びているのは間違いないようだ。

 食品産業新聞社は8月11日(電子版)、「『3年以内に業界トップを狙う』“焼肉きんぐ”飛躍的成長の鍵は提供スピードと接客力/物語コーポレーション」の記事を掲載した。

 ちなみに、タイトルにある「物語コーポレーション」が、焼肉きんぐの運営元だ。《飛躍的成長》という表現が記事の内容を雄弁に物語っているが、対照的に安楽亭は、近年、苦戦を強いられているようなのだ。

 外食レストラン新聞(日本食糧新聞)が、毎月、報じている「外食動向調査」の今年分をご覧いただきたい。前年同月比の状況を報じたものだ。4月1日に掲載された1月度から、8月5日に掲載された5月度までを一気にご紹介する。

▽1月度《焼き肉は物語コーポレーションが101・2%、安楽亭は96・8%》
▽2月度《焼き肉は安楽亭92・7%、(略)物語コーポレーション99・2%》
▽3月度《焼き肉は物語コーポレーション103・9%(略)と増収の一方、安楽亭は90・3%と減収》
▽4月度《焼き肉は物語コーポレーション101・6%と増収。一方、安楽亭は95・2%》
▽5月度《焼き肉は物語コーポレーション106・5%と増収の一方、安楽亭97・3%》

 物語コーポレーションが前年同月を下回ったのは2月度だけだ。一方、安楽亭は1月度から5月度まで全て下回っている。外食産業を担当する記者が解説する。

「安楽亭は63年に埼玉県蕨市に開業した焼肉店が原点です。85年に伊藤忠商事と資本提携を行ってFC(フランチャイズ)化に踏みきり、90年代に成長を遂げました。2000年には東証二部に上場を果たしますが、確かに近年は往時の勢いを失っています。一方の物語コーポレーションは愛知県豊橋市が本社です。49年に開店したおでん屋からスタートし、特に2000年代から存在感を発揮しました。08年のジャスダック上場を経て、11年には東証1部に上場。ちなみに『焼肉一番かるび』や『丸源ラーメン』も同社の経営です」

 焼肉きんぐはテーブルバイキング、つまり席に座ったまま注文できる食べ放題のスタイルで人気を呼んだ。これに対し安楽亭は、昔ながらの焼肉店というイメージを持っている方が多いだろう。

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