凪のお暇、偽装不倫…… なぜ今期ドラマは自己評価の低いヒロインが多いのか?

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 誰かを好きになる前に自分を好きになりたい。今、そう考える人は男女ともに多いのではないか。今期ドラマを見てみれば、自己肯定感の低いヒロインだらけである。

「凪のお暇」に「偽装不倫」。言いたいことを言えない、恋愛下手な自己肯定感低め女子。「これは経費で落ちません!」「セミオトコ」も、仕事は頑張るけれども人付き合いには疲れている。ちょっと前は「獣になれない私たち」「きみが心に棲みついた」なども、自己評価の低い女性の物語だった。最近、生きづらさを抱えながら自己犠牲に身を投じ続けるヒロインが多すぎやしないか。そんな女性像が共感を呼んでいるというのもなんだか世知辛い。

「言いたい事も言えないこんな世の中じゃ POISON」と反町隆史が歌い上げていたのは1998年。それから20年も経ったのに、ドラマのヒロインたちは相変わらず反町状態だ。そしてお約束のように、グイグイくるイケメン男子が見初めて恋愛成就。からの自己肯定感回復!バンザイ!という流れになりがちなのも、なんかちょっと違う気がするのである。

「あすなろ白書」から「花より男子」へ、そして「5→9~私に恋したお坊さん~」「ラスト・シンデレラ」「初めて恋をした日に読む話」……イケメンが自分をめぐって奪い合う話は少しずつ変化している。仕事を頑張ってきたから、アラサーになったから。何かそういう区切りや条件があってようやく「ご褒美」のように男性から求愛され始めるヒロインたち。

 このご時世、「選ばれる」「認められる」「褒められる」ということを手放しで受け止めることはとても難しい。「ブスのくせに」「年をとってるくせに」「能力もないくせに」と、知らない相手からケチをつけられるのは日常茶飯事だ。そうした反応に必要以上に傷つかないようにするには、自分はそれほど価値ある人間ではない、と先にへりくだるしかない。それでも手にしたいものがあるなら、人間の常識や慣習では抗えない、天変地異のような理由がなくては言い訳できないのだろう。ちょっと強引なイケメン男子が、自己評価低めヒロインの前に突如現れるのは、天災に近い救済とも言える。それをラブストーリーでは「運命」と言い換えてきたのではないか。

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