入管センター「外国人ハンスト」騒動、人権派新聞各紙がほとんど触れない事実

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108人が逮捕

 外国人が入管センターに収容されるのには当然ながら理由がある。本誌(「週刊新潮」)記者が面会した外国人は、過去に違法薬物の密売や、飲酒運転で死亡事故を起こすなど、軽微とは言えない犯行で逮捕されているのだ。

 もちろん、「罪を犯したことは反省すべきです。ただ、日本人と違い、外国人は刑務所で罪を償っても入管センターに収容される。これはあまりに不平等」(田中代表)という意見もあろう。

 しかし、だからといって仮放免という「例外的な措置」を乱発するのが最善とは言い難い現実もある。

 法務省は、昨年末の時点でイラン国籍の230人を含む計2501人が仮放免されていると発表。

 同時に、昨年だけで108人もの外国人が仮放免中に逮捕されたことも明らかにした。その罪状は殺人未遂に薬物事犯、暴行、傷害などで、国籍別ではイランが23人と最も多く、仮放免されたイラン人の10人に1人が逮捕されたことになる。

 実は、この点については当の大新聞も承知していた。

 朝日新聞は今年1月23日付の名古屋版紙面で、〈イラン人薬物密売、愛知で絶えぬ抗争 強制送還されにくく、仮放免で再犯も〉という記事を掲載しているのだ。

 タイトルにある「抗争」が激化した結果、密売組織のイラン人リーダーらが、対立する組織のイラン人を凶器で殴ったうえ、車に押し込んで監禁したという。愛知県警に監禁致傷容疑で逮捕された組織のリーダーは、10年に偽造パスポートで出国しようとして入管施設に収容。後に仮放免されたものの、そのまま7年以上も組織の頭目として覚醒剤などの密売を取り仕切っていたというのだから呆れる他ない。

 仮放免の「負の側面」にはダンマリを決め込んで、外国人への人権侵害だけを声高に叫ぶ姿勢は報道としていかがなものか。

 評論家の呉智英氏はこう喝破する。

「外国人の長期収容が増えようと、彼らがハンストを繰り広げようと、それによって施設側が処遇措置を変えるべきではありません。刑務所を出所すれば自由に行動できるというのは日本国籍を持っているからこその権利です。外国人が自らの罪によって永住権を奪われても自業自得という他ないでしょう。この件を報じるメディアにしても、すべての側面に触れずにバイアスがかかった記事を書いては、世論操作をしているに等しいと思います」

 騒動の裏側にはこうしたどうにも食えない実態があったのである。

週刊新潮 2019年8月15・22日号掲載

特集「『朝日』『毎日』が食いついた『大好物ネタ』! 入管センターで『外国人ハンスト』騒動の裏側」より

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