入管センター「外国人ハンスト」騒動、人権派新聞各紙がほとんど触れない事実

国内 社会 週刊新潮 2019年8月15・22日号掲載

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入管センター「外国人ハンスト」騒動の裏側(2/2)

 茨城県牛久市の「東日本入国管理センター」にて、長期拘留に抗議する外国人およそ100人が、ハンガーストライキを行った。朝日、毎日、東京の「人権」メディア各紙がこぞって取り上げた騒動だ。入管は時に〈ここは地獄〉とも紹介された(東京新聞・7月25日)が、ハンストによって体調を崩すことで、一時的に身柄の拘束が解かれる「仮放免」を狙っての行動でもあるようだ。

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 入管に収容されているのは、不法滞在などで強制送還が決まった外国人たちである。にもかかわらず「9割以上は送還を“拒否”している」(入管センターの担当者)といい、また自国民の受け入れを拒否する国の存在も、収容の長期化を助長しているようだ。

 実際の待遇はいかなるものか。

「現在収容されているのは定員700人の半分以下なので5人部屋を2~3人で使っている。洗濯室やシャワー室、卓球台のあるホールに自動販売機もあります。給食は宗教上の戒律やアレルギーを考慮して200種類以上のバリエーションを用意しています」(先の担当者)

 しかも、牢屋や檻に入れられているわけではなく、日中の大半は施設内を自由に歩き回れる。とても「地獄」とは思えない環境だが、不平不満を言う外国人を支援する「牛久入管収容所問題を考える会」の田中喜美子代表はこう訴える。

「先の見えない長期の収容生活は肉体的にも、精神的にも負担が大きい。私が知るだけでも、拒食症や夜尿症になったり、精神科に入院した人もいます。国の言い分は分かりますが、彼らの多くは帰る国がありません。なかには20~30年に亘って日本で暮らし、奥さんや子どもがいる人たちも少なくない。彼らを無理やり送還して、家族を引き裂いてもいいのでしょうか。日本が好きで日本にやってきた外国人に対して、国はもう少し制度を弾力的に活用すべきだと思います」

 確かに、日本に家族を残したまま強制送還されることを望まない収容者がいるのは事実。本国に帰れば迫害されるといった訴えを頭から否定することもできない。

 そうした事情に加え、今年7月に田中代表が日弁連のシンポジウムで講演したことも手伝って、冒頭の各紙はこの騒動を人権問題として大きく取り上げた。外国人が食べ物を口にせずハンストを続ける一方、人権派メディアは大好物のネタに食いついたワケだ。だが、その陰で、新聞各紙がほとんど触れない事実もあった。

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