日本を上回る勢いで増え続ける韓国の“外国人妻” 4割強がDV被害の惨状

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「結婚移住女性」の4割強がDV被害に

 韓国人との結婚のため韓国へ移り住むことを、現地では「結婚移民」ないし「結婚移住」という。また特にその多数を占める女性は、「結婚移住女性」などと呼ばれる。彼女たちは豊かな韓国社会での定着を夢見て、「結婚移民ビザ」の更新を繰り返しながら帰化申請の結果を待つのが常だ。

 結婚移住女性の多くは言葉が不自由であり、帰化申請も含めて夫の庇護に頼らざるを得ない。だがそんな立場の弱い外国人妻の多くが、これまで暴行、虐待に晒されてきた実態がある。

 夫ないしその家族に殺害される、あるいは自殺で命を落とした結婚移住女性は、2007年から現在までに19人。昨年12月にも韓国南東部の田舎町で、59歳の夫が38歳のフィリピン人妻を殺害する事件が起きた。また2017年発表の資料では、結婚移住女性の42.1%が暴言、暴力、性行為の強要といったDVの被害を受けていたことも明らかに。これは韓国の一般的な既婚女性の3倍にあたる数字だ。自治体や各種団体の支援も盛んに行われているが、上述のような事件は後を絶たない。

規制対象となった国際結婚ブローカー

 こうした問題は当然ながら、外国人妻の出身国からの反発も招いている。カンボジアとベトナムは2008年から2012年にかけて、自国女性と結婚する韓国人男性を対象に所得や年齢の制限を課した。両国はまた同時に、国際結婚仲介業者に対する規制も設けている。ブローカーによる国際結婚の斡旋が、人身売買に通じるとの懸念が指摘されてきたからだ。

 2011年末時点で、韓国には1519カ所の結婚仲介事業者が登録されていた。だが韓国政府も2012年から、資本金の基準を引き上げるなどの規制を強化。そのほか、男性1人に複数の女性を引き合わせて選ばせるなどの紹介方法も禁止した。韓国政府はまた2011年に国際結婚予定者への教育プログラムを義務化、さらに2014年には結婚ビザの審査要件も厳しくしている。一連の規制により、仲介事業者の数は2017年時点で366カ所にまで減少。最近まで国際結婚が減少傾向にあったのは、こうした政府の対応が一役買っていたようだ。

 だが残った仲介業者のウェブサイトはいまも、風俗店で品定めするようなデザインで独身男性にアピールしている。あどけない少女のような女性の写真を、トップ画像にあしらうサイトもある。再び増加に転じた「結婚移民」が今度は何をもたらすのか、その動向に複雑な視線が向けられている。

高月靖/ノンフィクション・ライター

週刊新潮WEB取材班編集

2019年8月21日掲載

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