清水寺の非公開部分も舞台に! 京都で8日間だけの限定展覧会 総合ディレクターは作家・原田マハ

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楽園のカンヴァス』『暗幕のゲルニカ』『美しき愚かものたちのタブロー』など、多くの骨太なアート小説を生み出してきた原田マハの最新作は、小説ではなく展覧会!

 しかもその舞台は美術館ではなく、京都の名刹・清水寺だ。

 世界中から美術館関係者が集まるICOM(国際博物館会議)の世界大会に合わせて開催される「CONTACT つなぐ・むすぶ日本と世界のアート展」の開催期間はわずか8日間(9月1日~8日)だが、出展される作家は26人――マティス、ジャコメッティ、棟方志功、東山魁夷ら巨匠たちに加え、リヒター、森村泰昌、加藤泉ら世界的に活躍する現役アーティスト、さらに宮沢賢治、川端康成、黒澤明、手塚治虫、竹宮恵子と、美術作家以外にも小説家や映画監督、漫画家と幅広い。

 マティスに私淑した猪熊弦一郎によるパステルカラーの油彩画、日本の浮世絵から影響を受けたゴッホに扮する森村泰昌の映像作品からは、世界各地で共鳴しあってきたアートの軌跡が伝わってくるし、手塚治虫「ブッダ」と竹宮恵子「風と木の詩」の原画、宮沢賢治の没後に見つかった「雨ニモマケズ」の貴重な直筆手帖など、近現代の日本遺産と言っても過言ではない貴重な品々も出品される。

 原田はかつて森美術館設立準備室に在籍し、その後フリー・キュレーターとして展覧会に携わることはあったが、この規模の展覧会を手がけるのは初めてのこと。

「京都国立博物館の佐々木丞平館長とお話しする機会があり、今年2019年は、3年に1度のICOMの世界大会が京都で開催されることを知りました。140カ国以上の世界各地のミュージアム関係者3万7千人以上が参加しています。戦後すぐの1946年に、戦争で分断された世界をミュージアムによって再びつなぐことを目的に設立された組織で、私もメンバーのひとりです」

 世界大会は各国もちまわりで開催されている。が、今年の会場が京都であることは、一般にはあまり知られていない。

「世界中の美術館関係者が3千人以上も京都にやってきます。この機会に、ぜひ京都のこと、日本のことを知ってもらいたい。海外から京都に来られる方々をアートでおもてなししたいし、もちろん日本の一般の方々にも日本の文化の豊かさ、そして日本と世界がアートを通してどうつながってきたか、今現在、どのようにつながっているのかを知ってもらいたい。そんな想いからこの企画を思い立ちました」

 人気の観光地でもある清水寺のインスタ映えスポット、西門や馬駐はもちろん、今回は通常は非公開の成就院や経堂も舞台となる。

 個々の作品にはあえて解説を付けず、「まずは感じてほしい」という原田だが、会場では今展のために書き下ろした短編集『20 CONTACTS 消えない星々との短い接触』(幻冬舎)の一部抜粋と原田による解説が掲載されたタブロイド紙が無料配布される。

 開催時間はなんと朝7時から。観光に出かける前、あるいは出勤前に朝の清浄な空気の中でアートにまみえる贅沢な時間を過ごすことができる。

 会期中には、竹中直人、山田洋次、桂南光、御立尚資と原田との対談が予定されており、美術だけにとどまらない、奥の深いアートの淵を清水の舞台から覗くことができそうだ。

 詳細はコンタクト展公式ホームページでご確認あれ。
 www.contact2019.com

デイリー新潮編集部

2019年8月16日掲載

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