ホワイト国指定解除の報復、韓国の日韓軍事協定破棄は自殺行為に他ならない

韓国・北朝鮮 2019年8月14日掲載

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 厳しい外交の世界をそれぞれの国が泳いでいくためには、相手国が唸るようなカードを手中に秘めていることが重要だ。ただの空威張りでは、残念ながら誰も相手にはしてくれない。韓国のいまの状況を見ていると、切ることのできるカードがないというのがいかに虚しいことなのかが嫌というほどよくわかる。ここまで来るともはや怒りを通り越し、他国のことながら憐れみさえ覚えてしまう。

 いわゆるホワイト国からの除外という8月2日の閣議決定を受けて、韓国が目を付けたのがGSOMIA(日韓秘密軍事情報保護協定)だ。事前通告がなければ1年ごとに自動延長される(21条3項)のだが、文在寅政権はこの協定にもともと批判的な国内左派を支持基盤としていることもあり、協定破棄をも視野にいれているというのだ。

 だが日本とのパイプ役も担ってきたKCIA後身機関トップ(徐薫国家情報院長)が国会でいみじくもその重要性を指摘したように、この問題は韓国にとっても慎重に考慮すべきことだとフレンドリー・アドバイス(非公式な助言)しておきたい。もっと言うなら、韓国は日本との安全保障協力によって莫大な利益を得ており、日本を脅すつもりでチラつかせているのであろう協定破棄は、実のところ韓国にとっては自殺行為でしかないというべきだろう。

 ここで日本が各国と結んでいる情報保護協定について整理しておきたい。日本が最初に協定を結んだのは、やはりというべきか同盟の米国とだった(2007年)。北朝鮮の動向はもちろん、日米同盟がグローバル化する中で、日米間での情報共有の重要性が高まっていたことが背景にはある。米国に続いて日本が協定を締結したのがNATO(2010年)、フランス(2011年)、オーストラリア(2012年)、イギリス(2013年)、インド(2015年)、イタリア(2016年)そして韓国(2016年)だった。

 今年2月、公式実務賓客として訪日したメルケル首相は、安倍晋三総理との首脳会談で協定締結について大筋で合意した。これで日本は米国に加えて、英仏独伊という欧州主要国との軍事協力を強化することになった。第二次世界大戦中の経緯もあってドイツとの安全保障上の協力は大きく後れをとっていたし、ドイツも東アジアでは中国との関係を重視していた。だが中国の暴走と日本の存在感の高まりを前にして、ドイツも重い腰を上げて協定締結に動き出したといえよう。

 注目すべきは、豪州、インドが含まれていることだ。両国はインド太平洋戦略における日本の重要なパートナーであり、日豪関係は近年では準同盟とも称されるほどに深化している。

 日本が協定を締結した国は、最近メディアを賑わした言葉を使って表現するならば、「軍事版ホワイト国」ともいえるだろう。だがその数はホワイト国(韓国を除き26か国)よりもはるかに少なく、日本にとっては真に信頼に足る相手ということを意味しており、先方から協定を破棄したという例はもちろんのこと一つもない。いずれの国も信頼できる日本との関係、とりわけ軍事面での協力を推進したいという考えに変わりがない中で、ひとり韓国だけが世界の趨勢とは真逆の方向に走り始めようとしているといえよう。

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