「N国党」の地方議員って普段どんな活動をしているのか、尼崎の武原市議に訊いた
地方議員は現在28人
8月1日に臨時国会が召集され、NHKから国民を守る党の立花孝志代表(51)も初登院。国会議事堂の前で「NHKをぶっ壊す」と、おなじみのポーズを披露し、多くのメディアが取り上げた。
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もともと政見放送などが話題になっていたが、立花代表が当選して永田町の注目を集めている。テレビのワイドショーは連日のように特集を組み、略称の「N国」も註釈なしに使われている。
一般紙もN国の躍進を分析、解説することが増えてきた。例えば朝日新聞は7月25日、「『N国』国政進出、特異な戦略 地方選は『資金稼ぎ』、代表くら替え次々」の記事を掲載した。重要なポイントだけ引用させていただく。
《元NHK職員の立花氏は、15年に千葉県船橋市議選に初当選した。1年あまりつとめると、都知事選に挑み、落選。17年には東京都葛飾区議になったが、こちらも1年半ほどで辞め、大阪・堺市長選へ。落選後、すぐさま参院選に出た。
この間、党勢は拡大し、19年の統一地方選では、東京都や千葉県などで26人の公認候補を当選させた。
「地方選は、国政進出への資金稼ぎのため」と立花氏は公言してはばからない。ネット中心の訴えでも戦えるとして、狙いを参院比例区に設定。比例区に出るには、10人以上の候補を擁し、最低でも3千万円を超える供託金を用意しなければならない。地方議員が増えれば、その給与から借りることができる――という逆算だ》
(註:全角数字を半角数字に改めるなど、デイリー新潮の表記法に改めた、以下同)
これを読み、「え!? N国って地方議員がそんなにいるの!?」と驚いた方は、どれくらいになるだろうか。公式サイトの「所属議員」を見ると、8月5日現在で27人の氏名、顔写真が掲載されている。朝日新聞の記事より1人増えているわけだ。
ちなみに27人中、最多は東京都内の区議と市議で13人。全体の48・1%を占める。次が千葉県内の市議で6人の22・2%。兵庫県内の市議が3人で11・1%、残るは埼玉県内の市議が2人、栃木県、新潟県、北海道内の市議が1人ずつという内訳だ。
また8月4日には千葉県の柏市議会選挙で1人が当選。これで地方議員は28人となった。
NHKは「公共放送」と位置づけられ、予算や経営委員の任命には国会の総務委員会や本会議での承認が必要となる。
つまり党の主張を実現するためには、何が何でもN国は国会議員を輩出しなければならない。その一方で、地方議員は必要不可欠というわけではない。都道府県議会や市町村議会でNHKの問題が話しあわれることは極めて稀であり、たとえ議決を行ったとしても、それが直接、NHKの経営方針を動かすことはまずない。
そう思いながら、改めて公式サイトで27人の顔写真を眺めれば、「この人たちは普段、どんな仕事をしているのだろうか?」という疑問が湧く。何しろ朝日新聞によると、立花代表本人が地方議員は「国政進出への資金稼ぎのため」と公言している。「別に議員として仕事をしなくてもいいですよ」とお墨付きを与えているようなものだろう。
そこで兵庫県尼崎市の武原正二市議(41)にインタビューを申し込んだ。N国の現役地方議員の中で、2017年6月に当選しており、最も議員歴が長い。
党史と照らし合わせて見ると、立花代表は15年に千葉県の船橋市議会選挙に初当選するが、16年7月に辞任。東京都都知事選挙に立候補して落選している。
更に17年1月には大阪府の茨木市議選、7月には東京都議会選にも落選し、11月の葛飾区議選で当選を果たす。つまり武原市議は、立花代表を含めても「N国唯一の議員」だった時期があったわけだ。N国の黎明期や党勢の厳しかった時代を体験していることになる。
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