「セブン」沖縄進出1か月 いよいよ始まるローソン、ファミマとの熾烈なコンビニ戦争

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沖縄セブンの課題

 加えて、セブンはドミナント戦略(地域集中出店)という独特の戦略で知られる。特定の地域に店舗を密集させることで、地域でのセブンの認知度を向上させ、競合他社の出店を阻むという方式だ。既にローソンとファミリーマートが数多く出店している沖縄県では、猛烈なドミナント戦略を展開することが予想される。実際、ローソンやファミリーマートがあった沖縄都市モノレール線・県庁前駅近くに、セブンは「那覇松山1丁目店」「国際通OTSビル店」「国際通松尾1丁目店」の3店舗を出店した。

「セブンは“セブンでなければコンビニに非ず”と思っている。ローソンの至近距離にセブンを出店して、潰しにかかるということを平気でする。それによって、同じセブンの加盟店の売り上げが減っても関知しない」(同・A氏)

 コンビニ加盟店舗を勧誘する本部社員をリクルートと言うのだが、ことセブンのリクルートは出店のために厳しいノルマが課せられることで知られる。それだけに「リクルートは良い人では務まらない」(同・A氏)と言われ、時に地域の意見そっちのけで、加盟店を増やすことに尽力するという。

 もちろん、セブンの近隣に別のセブンを出店することになった際には、OFCがこれに反対することはある。それでもセブン関係者たちに話を訊くと、

「OFCよりリクルートのほうが立場が上なので、結局、押し切られてしまう。ドミナントによって経営に行き詰まり、自殺や過労死、夜逃げに追い込まれるオーナーさんたちがいるが、リクルートの知ったことではない。リクルートの中には、『人間の心を捨てた』と言う人もいる。リクルートに嫌気が差して、OFCに戻る人もいます」

 街中でセブン同士が眼と鼻の先で競合しているのを見て、奇妙に思われた方も多くいると思うが、全てはこのリクルートによるドミナントによるものなのである。沖縄でもこうした戦略を採ることは間違いがなく、今度は沖縄でも上記のような事態が起きかねないのだ。

 先述の通り、現在のところ沖縄セブンの客足は好調だ。コンビニ業界の課題である人手不足の問題も、沖縄セブンには高校生や大学生からのアルバイトへの応募が多くあるという。沖縄県の最低賃金は現在762円。これをセブンでは800円ぐらいに設定し、質の良い労働力の確保に成功しているようだ。だが、学生は卒業すれば就職や進学で店を辞めてしまうため、定着率の悪い労働力でもある。

 それに、学生の応募にしても、セブンの目新しさに釣られての応募が多いと予想される。沖縄県の経済は現在のところ好調で、有効求人倍率は1・18倍(19年6月)。ほかに働き口はある。アルバイトが離れていけば、遠くない将来、沖縄セブンも他店舗と同じく人手不足に悩むことが予想される。そうなると待っているのは、24時間問題で明るみに出たような、オーナーたちの過酷労働だ。

 沖縄セブンの課題は他にもある。観光県に店を構えるにあたり、観光客の集客をどうするどうか、だ。

「新規オープンした物珍しさで、セブンに観光客も多く来ているようだが、お土産を買うというわけではない。そちらは、ファミリーマートの地酒などのほうが人気がある。となれば、いつまで観光客がわざわざセブンを選んで来るのか」

 と先のA氏は言う。そしてセブン広報は

「今のところ観光客向けの商品は特に開発しておりません」

 と答えるから、力を入れるつもりはないらしい。

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