巨人、若手選手の成長を阻む「ジャイアンツ球場」の大問題

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若手の成長を阻んでいるのは……

 確かに、ジャイアンツ球場が誇る最新の練習設備は文句がつけようがない。だが、ある球団関係者は「有望な若手選手が出てくるのに、ジャイアンツ球場の立地条件が若手の成長を阻む原因になっているのではないか」と指摘する。

「ジャイアンツ球場は、地図上で見る限り東京ドームまで直線距離で約30キロあります。そこまで遠くないという印象ですが、車移動のプロ野球選手にとってはまさに『都心の辺境地』のような場所ですね。本拠地の東京ドームからジャイアンツ球場まで電車ならば約1時間で到着できますが、車ならば話は別。高速道路利用で通常40分ほどの移動時間とされていますが、日本随一の大都会・新宿を抜けるルートのため、渋滞していない方が珍しい。平日でも約1時間半から2時間近く要することもある。一軍はナイター終了後の真夜中に帰宅して、次の日もお昼過ぎには球場入りします。睡眠もコンディション調整に必要不可欠です。都心に住んでいる選手なら、試合前にジャイアンツ球場で調整練習を行うことはほぼ不可能なのです」

 現役時代の松井秀喜氏は、足腰の負担が大きい、人工芝の東京ドームを避けて、土の上で走り込み調整をするため、自腹で都内に練習グラウンドを確保していた。また、丸は移籍当初、「素晴らしい環境。心おきなく練習に集中できる」と話していたが、オフや全体練習日以外、その姿をジャイアンツ球場で見たという話を聞いたことがない。

 一軍定着後の巨人主力選手は、東京ドームへの移動や遠征に備えて、都心か横浜に住むケースがほとんどだ。練習を重視して、ジャイアンツ球場の近くに住むケースは稀だといわれている。前出の関係者は「ここに巨人の若手選手が伸び悩んでしまう原因があるのではないか」と指摘する。

「若手選手は可能な限り、一軍定着を早く果たし、寮を退出して、東京ドームへアクセスの楽な場所へ住んでしまう。その結果、練習環境が整っているジャイアンツ球場で練習する時間は自然と減っていく。東京ドームでも練習はできるが、やはり屋内球場でスペースなどに限りも生じるため、練習不足に陥っている。これまで巨人若手で活躍しながら、成長が止まってしまった選手が数多くいたのもこのためではないでしょうか」

 確かに、ジャイアンツ球場組から脱出して、他球団で結果を出している選手も少なくない。その代表例が日本ハムに移籍し、大ブレイクを果たした大田泰示だろう。恵まれた身体能力とスター性は十分だったが、巨人時代は伸び悩んでいた。日本ハムでは、試合前に誰もいないグラウンドでトレーナーと二人でトレーニングを行うのが日課になっている。移籍当初から一軍帯同した結果、練習場所と時間を十二分に確保できていた。メンタル面もあるだろうが、巨人時代に比べて練習量が増えたことは、大きく成長できた要因のひとつといえるだろう。

 また、山口俊のFA人的補償でDeNAに移籍した平良拳太郎も、先発で結果を残し始めている。巨人時代は二軍で結果を残しても、なかなか一軍に上がれなかった。しかも、巨人の一軍首脳陣はあまり二軍へ視察に来ないことも影響したのか。関係者なら誰もが認める“逸材”をプロテクトから外すことにも繋がった。

「一軍と二軍の連携がうまくいっていないのも、ジャイアンツ球場の立地条件と関係している可能性は否定できないですね。有望な若手は出てきましたが、さらに成長するかどうかわかりません」(別の球団関係者)

 素晴らしい若手と練習施設を持ちながら、彼らの才能を伸ばし切れない……これでは“宝の持ち腐れ”である。

週刊新潮WEB取材班

2019年7月27日掲載

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