かんぽ生命「高齢者狙い」悪質手口とその裏にはびこる「住友イズム」

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氷山の一角

 前出とはまた別の日本郵便の社員は、

「民営化前から働いている人は“お客様に損をさせてはいけない”と教えられていますが、民営化後は“ここは営業をする会社だ”と教え込まれています」

 と語るが、“民間並み”になったのではない。大手生命保険会社の社員に尋ねると、むしろ、かんぽ生命の特殊性が浮かび上がる。

「かんぽの問題は、第一に“転換制度”がないこと。これは、既存の契約にくらべて新商品の保障内容が良ければ、既存の保障内容を生かしたまま新商品に移行できるシステム。民間では、今回のかんぽのようなモラルハザードを防ぐべく、20~30年前に導入されました。保険の営業では顧客の新規獲得はハードルが高いので、営業マンの目は既存の顧客に向かいがちですが、転換制度があるので、既存客に乗り換えを勧めにくい。かんぽにはそのうえ、乗り換えの場合の“手当半分制度”があった。顧客に安易に乗り換えさせないための制度が、悪用されたのです」

 経済評論家の豊島逸夫氏が予測するには、

「現段階で明らかになっているのは氷山の一角。巨大組織だから、今後多くのケースが出てくる可能性が高く、野球でいえばまだ1回裏くらいの感覚です」

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