野村証券元社員「シャンパン王子」の投資詐欺で被害は億超え! 不祥事多発の企業体質

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「顧客はいいカモ」

「このご時世、証券会社にとって顧客はいいカモだと思われているので、気をつけた方がいいと思います」

 と警鐘を鳴らすのは、『投資なんか、おやめなさい』(新潮新書)の著者で、経済ジャーナリストの荻原博子氏である。

「野村証券は最大手であるがゆえ大量の社員を抱えていますから、足で稼ぐ古い営業体質を変えられない。人員削減に繋がるオンライン化も進まず、新規参入のネット証券や投資信託を始めた銀行にまでパイを奪われているので大ピンチなんです。だから、野村の社内は上層部から末端に至るまで、少しでも美味しい儲け話があれば我先にと飛びつく。倫理観が吹っ飛んだ組織だからこそ、これだけ不祥事が頻発するわけです」

 斯様(かよう)な状況を踏まえた上で、荻原氏はこうも言う。

「投資とは経済全体が上がり調子の時にやるものですが、7月1日に報じられた日銀短観は2期連続の悪化。要は日本経済は下がり調子なわけで、近いうちに増税も行われる。加えて米中貿易戦争など世界経済も不安定要素が多い状況の中で、投資に手を出すのは控えた方がいいでしょう」

 改めて、主犯格の中村に代理人を通して再三取材を求めたが、期限までに回答は得られなかった。

 また現役社員の関与について、野村HDグループ広報部にも問うてみたが、

「警察に相談しておりますので、コメントは控えさせていただきます」

 と言うばかり。ならばと、野村証券の森田敏夫社長を自宅前で直撃したところ、

「プレスに発表させていただいた通りの話なので。それ以上はノーコメントで」

 と言葉少なに答えるのみ。最後まで顧客である被害者たちへのお詫びの言葉を聞くことはできなかった。

 被害男性の一人は、近いうちに刑事と民事双方で告発する準備を進めている。

 多くの詐欺事件で被害者代理人を務める加藤博太郎弁護士の解説によれば、

「今回の事件で詐欺罪が適用されると、過去の判例を踏まえれば実刑は免れない可能性が高い。現役社員も共同不法行為を働いたと見做されれば、彼らに損害の全額賠償を請求することもできます。もともと野村証券は顧客の資産管理を提案するのを生業としていますので、野村の複数の営業マンが元社員の融資案件を持ってきたとなれば、被害者が野村ブランドを信用して買ったと言える。野村証券の業務と、外見上、見られるようであれば、民事上は会社にも使用者責任を問える可能性があります」

 詐欺師に操られた鵜の如く、顧客の資産を喰い散らかした証券マンたち。貴方の資産も鵜飼いに狙われぬよう、どうかご用心――。

週刊新潮 2019年7月18日号掲載

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