「テスラの車でなかったら、夫は死なずに済んだかもしれない」 自動運転車の暴走リスク
自動運転車で初の惨事 大黒柱を奪われた母娘の慟哭(2/2)
ツーリング中の惨事によって、櫻井隆太さん(仮名・44)=当時=が命を落したのは、昨年4月29日のことだった。事故対応のため、高速道路上に停車していた櫻井さんたち一行のところへ、加速した「自動運転車」が突っ込んだ結果の悲劇である。
過失運転致死傷罪で起訴された伊藤展慶被告(49)は、自身の居眠りを認めつつも、運転していたテスラ社の「モデルX」に搭載された「クルーズコントロールシステム」の故障が原因と主張。無罪を訴える被告人に、櫻井さんの妻は憤りを隠せない。
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神奈川県警に聴取されたテスラのエンジニアはこう話したという。〈クルーズコントロール機能は追尾していた車両が車線変更して、代わりに静止した車両が前方に現れるとエラーを起こすことがある。その点は納車時に説明している〉。
「でも、モデルXのマニュアルではこのエラーは“時速80キロ以上で走行中に生じやすい”と説明されています。今回の事故は渋滞に巻き込まれて時速10キロ程度で走行中に起きている。この事態をテスラ社は把握しているのでしょうか」(櫻井さんの妻)
また、事故当日は、「雲ひとつない晴天で、絶好のツーリング日和だった」(櫻井さんのバイク仲間)。しかも、
「高速道路は横断歩道や信号もなく、歩行者も飛び出してこないので自動運転に適した環境と言えます」
とはモータージャーナリストの島下泰久氏の弁。
「ただ、それでも事故は起こり得る。“自動運転”を“完全自動運転”と誤解したまま説明書も読まず、販売員の話もろくに聞かずに居眠り運転をしては話になりません。いま存在するのは、あくまでも、“自動運転に向けた技術を用いた運転支援機能”が搭載されている車に過ぎないのです」
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