「宮迫」「田村」捨て身の会見で世論もスポーツ紙も“掌返し” 吉本「情報操作」の失敗

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岡本社長の暴言は一般紙も速報

 宮迫と田村の会見が始まって約30分が経過すると、「情報プレゼンター とくダネ!」(フジテレビ系列・月〜金曜・8:00〜)のリポーターが質疑応答を行おうとした。そして「質問の前に確認をしたい」と問いかけた。

 リポーターは「今日、会見で話していただくことは全て真実、本当だということでよろしいでしょうか」と迫ったのだが、宮迫は「もちろんです」と即答した。

 我々も宮迫と田村を信じよう。彼らの説明に嘘が全くないことを前提に、吉本興業の“ファクトチェック”を行ってみる。

 原点は6月7日、週刊誌「FRIDAY」の発売だ。同誌が「宮迫博之 犯罪集団に『闇営業』」と報じたわけだが、記者の取材に「ギャラはもらっていない」と回答した宮迫は、同誌の報道で「世間の反応が大きく」なっていったことに、恐怖を覚えたという。

 最初に反省を示したのは田村。宮迫に「お金のこと言いましょう」と会社への“自首”を提案した。だが宮迫は、「ギャラは入江慎也(42)が保管し、入江がセッティングしてくれた忘年会の費用に使って相殺された。ギャラは受け取っていないに等しい」という理屈で反論を試みた。

 それに対して田村は「ギャラ100万円から、宴会の費用を差し引いたお釣りをもらっていた」と指摘。宮迫は「それはもう会社に言わなあかん」と考え直した。忘年会では泥酔して記憶がなかったという。売れっ子芸人だけあって財布の中には常に多額の現金が入っていた。金銭感覚が麻痺していたことも、宮迫は会見で謝罪している。

 翌8日に、宮迫と田村、それに「ガリットチュウ」の福島善成(41)、「レーザーラモン」のHG(43)も加わり、吉本の社員2人、弁護士2人で対応を協議した。宮迫たちは「ギャラをもらっていた」と告白するが、吉本サイドは「今さらひっくり返せませんよ」と一蹴。最終的には「ずっと静観でいきましょう」と言われ、宮迫たちも受け入れてしまう。

 6月14日にFRIDAYは続報「吉本興業の人気芸人 振り込め詐欺首謀者の誕生会で『闇営業』」を掲載。詐欺グループの元メンバーが「ギャラは絶対に支払っていた」と誌面で断言した。

 さらに13日と20日に放送された「アメトーーク!」(テレビ朝日系列・木曜・23:20〜)で、一部のCMがACジャパンの作品に差し替えられた。これを女性自身や東京スポーツなどが電子版で報道、少なからぬ読者が「外堀が埋まってきた」との感を強くした。

 24日、宮迫や田村など“闇営業”に関与した芸人の全員が吉本興業に呼ばれた。そこで「謹慎です」と通告を受けた。すると田村が「記者会見をやらせてください。全部自分たちの口で、金額、経緯、事実を伝えさせてください」と嘆願した。

 これに岡本社長は人払いを命じ、彼と芸人だけが対峙した。社長の第一声は「お前らテープ回してないやろな」だったという。これを宮迫が会見で暴露して大きな反響を呼んだのはご存知の通りだ。

 岡本社長は「亮、ええよ、お前辞めて1人で会見したらええわ。やってもええけど、そんなら全員、連帯責任でクビにするからな。それでもええんなら記者会見をやれ」といった暴言を吐いたことも明らかになった。

 宮迫の証言は記者に衝撃を与え、朝日、読売、毎日、産経という一般紙も電子版で岡本社長の“恫喝”を報じた。

 宮迫たちは謹慎に入るが、7月8日に再び岡本社長に謝罪会見を開きたいと嘆願した。この時、宮迫は「引退してもいい」とのカードを切った。岡本社長は「引退はさせない」と一蹴したものの、謝罪会見の開催には理解を示した。

 岡本社長の言質は取ったとはいえ、宮迫と田村は吉本サイドの「時間稼ぎ」を警戒した。そこで個人的に弁護士を依頼。すると実際に交渉は進展し、2人は「遅すぎるかもしれないが、近日中に会見を開ける」と安堵したという。

会見で日刊スポーツの記者が質問

 7月19日にFRIDAYが発売され、「宮迫博之 半グレ金塊強奪犯と『ギャラ飲み』現場写真 福岡で7億6000万円相当の金塊が強奪された事件の3週間後」の記事が掲載された。

 FRIDAYが発売される前日にあたる18日、宮迫と田村の弁護士に書面が届いた。宮迫は当時の心境を次のように振り返った。

《僕と亮くん2人の引退会見、もしくは2人との契約解除、「どちらかを選んでください」という書面が突然送られてきました。意味が分かりませんでした。引退ということもなく、謝罪会見をさせてもらえると思っていた僕たちは、どうしたらいいのか分わからなくなりました》

 宮迫と田村は「岡本社長と話がしたい」と会社に依頼した。だが「弁護士を付けた時点で喋ることはできない」と拒否された。そこで2人は、わざわざ弁護士との契約を一時的に解除して、吉本興業東京本社に向かったという。

 部屋に通されるが、現れたのは岡本社長ではなく2人の弁護士だった。彼らは宮迫と田村に、「2人の引退会見、それを拒むなら2人の契約解除、この決定は揺らぎません」と突き放した。記者会見を選択するなら開催は翌19日の正午。そして「今から2時間後、こちらで考えているQ&Aを練習してもらいます」と一方的に指示した。
 
 宮迫と田村は、会社主導の会見だと自分たちの本意が伝わらないと危惧。激しく悩みながらも、契約解除を選択した。

 これだけ複雑な経緯があり、その上で宮迫と田村は吉本側が開こうとした引退会見を拒絶し、契約解除を選択した。ところが、日刊スポーツが掲載した記事の見出しは、先に紹介した「宮迫会見拒否 逃げた!!」だったわけだ。

 宮迫と田村の言い分が、綺麗に丸ごと排除されている。日刊スポーツの記者としては、たまったものではないだろう。

 日刊スポーツの記者は会見で質問を行っている。そこで「引退会見か契約解除かを選べ」という“二者択一”の問題が取り上げられた。

 以前に記者が吉本サイドを取材した際、宮迫と田村に「”三者択一”を選ばせた」と説明していたのだ。記事を書いた時と、2人の会見が終わった時では、そもそもの前提条件が異なることが明らかになった。その一問一答は以下の通りだ。

《日刊スポーツ(以下、ニッカン):吉本の説明では、引退と契約解除というのと、もう1つ謝罪会見もあったと、それなのに宮迫さんが打ち合わせをドタキャンしたんで、「ああしょうがないな、引退だ」ということで「昨日の朝告げて、昼発表した」という風に言っていたんですけれど、その辺は、謝罪会見という選択はなかったということでいいですか?

宮迫博之(以下、宮迫):ありませんでした。その2つ、どちらかを選べでしたので、引退会見ならば2時間後に戻ってということでしたので。

ニッカン:戻ってこられたの……確認したいんですけども、前々日の夜9時すぎに吉本がそれまで内々に「会見をするよ」と言っていたのが、9時半くらいに「絶対にないから」と、「吉本の下のヤツが間違えている」という話が出回ってきて、「絶対にない」と会見はなくなったんですけれども、「宮迫さんと亮さんが打ち合わせに行かなかった」と、向こうが「ドタキャンした」と言っている時間は何時ぐらいなんですか?

宮迫:「8時に戻って来い」でしたね。8時前後だと思います》

 日刊スポーツの記者が吉本サイドから聞かされた“事実”と、宮迫が振り返った“事実”が相違しているのが非常に興味深い。

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