八千草薫「がん発覚」で刊行が危ぶまれたエッセイの気になる中身

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 頭が虎で体は馬。

 宋代の画家がそんな奇怪な絵を描き、虎なのか、馬なのかと問われて答えた。

「馬馬虎虎(まあまあふうふう)だ」

 中国語で“いい加減”という意味を持つこの言葉を表題にしたフォトエッセイ『まあまあふうふう。』(主婦と生活社)が6月28日に発売された。著者は今年の2月、肝臓がんに罹っていることを公表し、ドラマなどを降板した女優の八千草薫(88)。2007年に亡くなった夫に“いい加減に生きなさい”とよく言われていたことから、このタイトルをつけたという。

「1年ほど前でしょうか。初対面の編集者の方から、米寿を迎えるにあたり本を作りませんか、と依頼がありました」

 とは、所属事務所の担当者である。

「どういう形での書籍にするかという話し合いから始まりまして、昨年の9月くらいから自身の日常を少しずつ書き始めたのです。しかし、12月くらいに体調を崩してしまい、書くのはストップ。そうこうする内に肝臓がんも発覚し、一度は刊行の中止も検討しました」

 それでも出版したのは、本人の意思があったから。

「本来、仕事をお休みするのに会見でお話しするところをHPでの発表のみ。本人にも何か自分の言葉でお伝えしないといけない、という思いがありました。そこで、春くらいから再び作業に入り、本の後半部分を書き直したんです」

 その後半に、一昨年春に乳がんの手術をしたこと、昨年1月にすい臓がんの摘出をしたこと、終活に挑戦したことなどを明らかにしている。担当者曰く、

「今回については手術はしません。今後、無理のない程度で良いお仕事があればやりたいと思っています」

 著書の中にはこんな一節がある。

「『今』から逃げないことが大事」

 人生で初めて大きな病気を抱えたと言う大女優。その胸のうちである。

週刊新潮 2019年7月11日号掲載

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