87歳「野末陳平」が参院選に出馬、不整脈、血圧上昇でも30年ぶりに立候補した理由

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「出馬を決めたのは6月23日でした。そのことを昔、僕の秘書だった海江田万里くん(立憲民主党最高顧問)に伝えると、彼から、“突然で、驚きました。とにかくお目にかかって、相談したいと思います”というメールが来ましたよ。誰にも相談をせずに出馬を決めたもんだから、相当驚いていたようだね。公示の日の7月4日にもまた彼からメールがあって、“選挙1日目、お疲れ様です。健康の事だけが心配です。終わって元気になれば”と労ってくれました」

 と語るのは、参院選東京選挙区に無所属で出馬する、野末陳平氏(87)である。国政選挙には、89年の参院選挙以来、30年ぶりの出馬となる。

「4日、東京都選管に届けを出したのですが、僕が最後でした。選挙管理官は、昔お世話になった、顔馴染みの方がいらして、僕を見てびっくりなさったようで、小声で僕に“そのお歳で出ていいんですか”と。半ば呆れ気味でしたね」

 野末氏は、50年代後半からテレビやラジオの放送作家、司会者、俳優として脚光を浴びる。サングラスをトレードマークにして、野坂昭如と組んで余興の漫才を行ったことも。政界進出は71年の参議院選挙で、全国区から無所属で立候補。繰り上げで当選を果たした。以後4回連続当選。税金党を結党したり、自民党に移籍したりした後も新生党、新進党と移り、無所属に戻ったため、“政界渡り鳥“と言われた。国会議員は、参議院として24年務めた。

 立候補の理由をこう説明する。

「本当は、穏やかな老後を過ごそうと、琵琶湖湖畔に、24時間介護付きのリゾートマンションを購入していたのですが、そこに居ることがほとんどなくて、東京に居ました。そんな時、金融庁が試算した老後資金2000万円問題が起こった。野党はキャンキャン言うし、自民党はオタオタするわで、国民の不安を煽ってしまった。これではいかんと思ったわけです」

 老後2000万円問題そのものがおかしいという。

「例の試算は、65歳の夫と60代の妻が30年間老後生活を送るというのがモデルとなっています。厚生年金は夫婦で約21万円という設定で、それに内閣府が試算した普通の暮らしでの生活費では毎月5万円以上不足する。30年で2000万円というわけですが、そもそも老後の生活というのは、現役時の暮らしではなくて、レジャーや交際費は現役の時よりもかなり抑えている。医療費だって、自己負担限度額を超えた分が後で払い戻される高額医療制度があります。だから、2000万円ないと老後が赤字になるとことにはならないのです」

 野末氏に言わせれば、今の高齢者は、自分の老後は心配していないという。

「高齢者が心配しているのは、むしろ自分の子どもの世代、孫の世代の老後です。今後、高齢者が増えて、若い人の負担がどんどん大きくなっていきますが、若い世代の老後をいかに安全に保障させるのか、具体的に明らかにしていきたい。アメリカには退職者協会というのがあって、高齢者の権利を主張して政府に影響を与えている。日本の高齢者は個別にぶつぶつ言うだけで、まとまった意見とはなっていない。僕が出馬することで、シニア連合みたいなものができる雰囲気になったらいいなと考えています」

 もっとも、当初衆参ダブル選挙になるという情報もあったため、出馬するかどうか様子をうかがっていたという。

「ダブルなら、海江田くんを支援しなくてはいけませんからね。それが、ダブルはないとテレビなどが報じたため、出馬に踏み切りました」

 野末氏は参議院議員時代、海江田氏を秘書として重用していた。

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