トルコ通貨建て債券「年利20%超」でも安易に手を出してはいけない理由

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〈トルコ・リラ建ゼロクーポン社債 期間約3年〉

 そんな金融商品の広告が日経新聞に載ったのは6月15日のこと。驚くのはその金利である。なんと年利20・42%(税引前)なのだ。

 販売しているエイチ・エス証券の担当者によると、

「すでに、本店の販売分は売り切れており、支店に在庫があるかも知れません。この債券を買うには、証券口座を開いたうえで、円をトルコ・リラに替えなくてはいけませんが、今なら為替手数料の割引キャンペーンをやっています」

 同証券では、このほかに「10年債」というのも販売しており、こちらは年利15・23%。トルコ・リラ建て社債は他社も扱っていて、楽天証券が販売しているのは23%(約3年)だ。低金利の世の中にあって、そんな美味しい話があるのだろうか。

 が、結論から言うと、「トルコ・リラ建て債券」は相当の注意が必要だ。

 外貨建ての金融商品に詳しい安東隆司(りゅうじ)氏(RIA JAPAN おカネ学株式会社代表)によると、

「証券会社にもよりますが、円からトルコ・リラに替える際の手数料は一般的にかなり高い。片道の手数料だけで9%近く取られることがあります。償還時に円に戻すと、往復で18%です。20%といっても、為替手数料を差し引くと決して高利回りとはいえません(註・エイチ・エス証券の場合は往復で約7%)」

 さらに、トルコの内情を知ればドン引きするような実態だ。同国のインフレ率は年間18%で、政策金利は24%である。理由はエルドアン大統領の経済政策がボロボロだから。

「昨年、トルコ・リラは1年間に49%も下落しました。証券会社によっては、高い為替手数料や通貨の脆弱さをきちんと説明していないケースもあります。高金利をうたっていますが、それをはるかに超える損失を出す可能性もあるのです」(同)

 老後の蓄えをつぎ込むには、「ハイリスク」すぎる金融商品なのは間違いない。

週刊新潮 2019年7月4日号掲載