安倍外交の深謀遠慮 G20“夕食会”の席次から読み取れる「対中包囲網」

国際 2019年7月1日掲載

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 最近の安倍外交の特徴は、リスクを恐れずに積極的に仲介役を買って出ていることだろう。先週私は、G20を控えた日本の外交政治の動きについて話してほしいということで、欧州各国の外交官との昼餐に招かれたが、驚いたのは最初に設定されたトピックがイラン情勢だったことだ。こうした席では日米関係から始めるのが順当といえば順当だが、中東についてまず話そうという先方からのリクエストは、イラン情勢の緊迫化があるとはいえ、安倍晋三総理の仲介外交が存在感を高めていることの証だといえよう。

 昨年のカナダ・シャルルボワでのG7サミットでは、一枚の写真から仲介者安倍総理がクローズアップされた。ドイツのメルケル首相が、腕組みするトランプ大統領に対して机越しに詰め寄る場面だ。国際秩序が不安定化する中で、二人の間で写真に収まった安倍総理こそが橋渡しが可能であるという言説が広まった。

 そして今回のG20では、デジタル経済に関する首脳特別イベントでの一枚が、仲介者としての安倍の面目躍如となった。

 サミットは壮麗な宮殿で開催されることが多い。首脳としての威儀を正す意味があろう。最初にG7(当時はG6)が開かれたのはフランス・ランブイエ城だったし、5月に令和最初の国賓としてトランプ大統領が東京を訪れた際には、迎賓館赤坂離宮で日米首脳会談が開かれた。トランプは天皇陛下に対して、ホワイトハウスは皇居宮殿に見劣りすると謙遜してみせた。なお旧共産主義国のロシアでも、プーチン大統領が陣取るのはクレムリン宮殿だ。

 今回のG20の開催場所であるインテックス大阪は、宮殿とは似ても似つかない場所だった。一部の首脳はその事務的な雰囲気に驚いたかもしれない。会場に事前に下見に行ったというある国の外交官は、何もないスペースだったのでサミット当日の様子を想像するのが難しかったと私に話していた。一歩足を踏み入れただけでその雰囲気に圧倒される宮殿とは、まさにかけ離れた場所だったのだ。ところがその事務的な場所だからこそ生まれたのが、あのぎゅうぎゅう詰めの”奇跡の一枚”だったともいえよう。米中の首脳が安倍総理を挟んであれだけの近距離に着席した絵は、空間をふんだんに使って建てられている宮殿では決して生まれなかっただろう。

 大阪城天守閣を望む大阪迎賓館に、夕食会のために集まった各国首脳の席次にも注目しなければならない。安倍総理は、トランプ米大統領とプーチン大統領を両脇に従え、食事を進めた。米露関係は冷戦後最悪といわれるレベルにあるが、安倍総理はトランプ大統領だけでなくプーチン大統領とも良い関係を築いている。大阪迎賓館でも安倍総理は、仲介者としての顔を覗かせたというわけだ。

 安倍総理はプーチン大統領と逆サイドに、トランプ大統領、モディ印首相、モリソン豪首相の席を並べてみせた。しかもトランプ大統領の前は習近平中国国家主席という席次だ。中国を念頭に置いた日米印豪4か国による連携は、安全保障ダイヤモンド構想(地球儀上で4か国を線で結ぶとダイヤモンドが浮かび上る)ともよばれ、第一次政権以来の安倍総理の悲願だった。それがいま大きく日の目を見ようとしているのを象徴するシーンだった。

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