夫だけでなく娘も発達障害? カサンドラ妻の終わらない「世にも奇妙な物語」

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「カサンドラ症候群」(以下、カサンドラ)とは、発達障害の一種「アスペルガー症候群」(以下、アスペルガー)の夫や妻、あるいはパートナーとのコミュニケーションが上手くいかないことによって発生する心身の不調です。特に夫婦関係で多く起こると言われていますが、最近ではアスペルガーの家族や職場・友人関係などを持つ人に幅広く起こり得ることが知られています。本連載「私ってカサンドラ!?」では、カサンドラに陥ったアラフォー女性ライターが、自らの体験や当事者や医療関係者等への取材を通して、知られざるカサンドラの実態と病理を解き明かします。

 バックナンバーはこちら https://www.dailyshincho.jp/spe/cassandra/

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「誰の子かわからない」と言って回る夫

 やはり、第2子を出産後も夫はまったく変わらなかった。

 妊娠中私の生活費どころか検診費用も出してくれなかったのに、帝王切開による出産でおりる保険金を全額よこせと言い、さらには赤ちゃんを見に来てくれた友人たちに「誰の子かわからないんだよ〜」と言って回る。

 一度彼がそう言ったときに私が同調してしまったからか、彼の記憶は塗り替えられてしまったようで「誰の子かわからない」は私が発言したことになっていた。

 だから冗談として通用すると思って、お客さんみんなにその話をする。当然、場は白け、微妙な空気になってしまう。私も、親しい友達にこそ、

「そう、セックスレスだったのにまさかのワンナイトで授かったのよ〜! ミラクルベイビーなの〜、縁起がいいのよ、すごいでしょう〜」

 と、フォローにならないフォローをしたが、それも誰にでも言えることじゃない。途中から諦めてかすかに微笑みを浮かべてやり過ごすことにした。表情のモデルは聖母マリアである。処女懐胎だ。

 今回も産後、早い時期から少しずつ仕事を再開した。携帯代は立て替えてもらえないどころか「カードで払え」とクレジットカードを契約させられたため、その支払いに困ったからだ。第1子の妊娠中と出産後の生活を支えるため結婚前の貯金をはたいた私は、第2子の妊娠出産により借金を抱える羽目になっていた。

 ところが上の子のときは、産後すぐ雑誌の仕事を受け、一時預け可能な保育所まで電車を使ってまで預けに行く気力があったが、下の子のときにはそんな元気はどこにもなく、それどころか原稿がうまく書けなくなっていた。

 妊娠による急激なホルモンバランスの変化のおかげで安定剤を飲まなくても再び眠れるようになったのはよかったが、長期にわたる険悪な夫婦関係に妊娠出産と子育てが加わり、疲れ果てていた。仕事が手につかないだけでなく、上の子の保育園の登園時間には間に合わないし、保育園のママ友の顔が見分けられず、前回何を話したのかも思い出せない。

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