怪物・佐々木朗希だけじゃない!ドラフト戦線に浮上する“注目の逸材13人”

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明大・森下の評価が急上昇、大学生には強肩捕手も

 大学生、社会人に目を移すと、こちらも投手に有力候補が多い。中でも、この春に評価を大きく上げたのは森下暢仁(明治大)だ。早くから素質の良さは目立ちながらもなかなかピッチングが安定しなかったが、6月に行われた大学選手権では先発した2試合を一人で投げぬいて、1失点と圧巻の投球でチームを日本一に導いた。大学生にしては細身だが、伸びやかなフォームから150キロ前後のコーナー、低めに集め、緩急の使い方もうまい。即戦力の投手がほしい複数の球団が佐々木を回避して、森下を指名することも十分に考えられるだろう。

 社会人の即戦力候補としては宮川哲(東芝)の名前が挙がる。楽天・則本昂大に雰囲気の似たフォームから繰り出すストレートは150キロを超えることも珍しくなく、140キロ台中盤のカットボールも一級品。序盤は圧巻の投球を見せながら中盤につかまることが多いのは課題だが、リリーフであれば間違いなく1年目から一軍の戦力として期待できる。

 その他の社会人では、いずれも高校卒3年目となる太田龍(JR東日本)、立野和明(東海理化)、河野竜生(JFE西日本)が候補となる。太田は190cmの恵まれた体格でスケールの大きさが光る右腕。リリースが不安定で制球を乱す場面も少なくないが、球威で押せるのは魅力だ。立野は細身ながらバランスの良いフォームで制球力の高さが持ち味。先発投手として試合を作る能力も高い。河野は貴重な左の先発タイプ。上背はないが年々体つきが立派になり、今年は150キロを超える数字もマークしている。左の即戦力がほしい球団は河野、即戦力ではなくても2年目以降に大きく飛躍しそうな球団は太田と立野に人気が集まる可能性が高い。

 野手は高校生と同様に上位候補は少ないが、海野隆司(東海大)、佐藤都志也(東洋大)の捕手二人の注目度が高い。海野は、ソフトバンク・甲斐拓也を思わせる抜群の強肩が魅力。打撃も派手さはないが勝負強さが光る。佐藤は三拍子揃ったアスリートタイプ。左打席から見せる柔らかいスイングで確実性と長打力を兼ね備え、プレーのスピードも申し分ない。打力を生かして他のポジションとして考えている球団もあるだろう。

 ここまで佐々木を含めて名前を挙げたのは14人。この後行われる高校野球の地方大会と甲子園、都市対抗、大学野球の秋季リーグ戦でまだまだ彼ら以外にも名前が挙がってくる選手は必ずいるはずだ。10月17日のドラフト会議に向けて、候補選手たちの最後のアピールに注目したい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

週刊新潮WEB取材班編集

2019年7月1日掲載

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