投資信託で3千万円が200万円に…私はこうして定年資産を溶かしました

ビジネス 週刊新潮 2019年6月27日号掲載

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デフレには現金

 その調査とは、国内29の銀行で投資信託を購入した個人客について、購入時と昨年3月末時点での評価額を比較、集計したもの。実に客の46%の運用損益がマイナスだったという結果が出たのである。

「1年後の今では、円高が続いて株価が下がってしまっていますから、半分以上が損をしている結果になるでしょう」(同)

 というから、この調査だけなら、投信で得ができる確率はサイコロを転がす程度でしかないと言えるのだ。続けて、

「私の体感では、iDeCo(イデコ)の利用者のうち、8割は元本割れしていると思います」

 と述べるのは、全日本年金者組合東京都本部の芝宮忠美・副委員長。

 iDeCoとは、個人型確定拠出年金のことである。60歳までに毎月、一定の掛け金を支払って金融商品を買い、60歳になると年金としてそれを引き出せるというもの。この制度を使えば、掛金、運用益について税が優遇されるし、積立金を受け取る時も控除の対象に。国が旗を振り、現在、123万人が利用しているが、

「ここ1~2年、組合に“iDeCoで投資したのに、元本割れしてしまった。どういうことなのか”という相談が急増しているのです。それまでと比べ、3倍ほどに増えた印象ですね。うちの息子も加入しましたが、元本割れしているとか。皆さん、国が勧めているのに騙された、という思いがあるようです」(同)

 国が関わろうと投資は投資。実際に8割が損しているかはともかく、決して「安心の商品」とは言い切れないのは事実であろう。

「投資をするなら、そのための教育を受けていなければダメなんです」

 とは、前出の荻原さん。

「今の高齢世代はそれを受けていないので、リスクがあることを理解していない人が多い。大幅な余裕があるならともかく、老後のための大事なお金を危険に晒すのは愚かです」

 そして、現在の経済環境自体、到底、投資には不向きと言うのだ。

「右肩上がりならともかく、米中の貿易戦争やブレグジットなど、国際情勢が不安定で株が下がっていますよね。逆にデフレで強いのは現金。デフレ局面では貨幣価値は上がっていますから、今は現金をそのまま持っておくのが最も得なんです」

 人生の最終章を、丁半博打に賭けるワケにはいかないのである。

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