コパアメリカでスポーツ紙は「久保建英」を絶賛、過大評価で無責任と言われる理由

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大迫勇也は五輪出場“禁止”

 2020年の東京五輪で、サッカーは開幕式より2日早い7月22日が女子、翌23日が男子初戦。決勝戦は女子が8月7日、男子が8月8日というスケジュールだ。もし久保がFC東京の選手だったならば、当然ながら主力選手としてフル出場するだろう。

 しかし彼は今夏、レアル・マドリードに移籍することが決まっている。スペインリーグの開幕はヨーロッパでも遅い方となり、例年は8月下旬から9月という具合だ。

 今シーズンを例に挙げると、例えばレアルのライバルであるバルセロナは7月23日、プレミアリーグのチェルシーと埼玉スタジアムで、27日にはヴィッセル神戸とノエビアスタジアムで対戦する。

 同じようにレアルも7月21日から27日にかけてアメリカ遠征を実施する。そして、ブンデスリーガのバイエルン・ミュンヘン、プレミアリーグのアーセナル、そしてリーガ・エスパニョーラのアトレティコ・マドリードといったクラブと試合を行う。もしかしたら久保は、このアメリカ遠征でデビューする可能性がある。

 このようにヨーロッパのクラブチームは7月末から始動し、プレシーズンマッチとキャンプを経てリーグ戦を迎える。こうしてスケジュールを詳細に書けば、意図に気づく方も多いだろう。レアルと東京五輪の強化スケジュールは、ほとんど重なっているのだ。

 そこで“レアルの久保”は果たして東京五輪に出場できるのかという、しごく真っ当な疑問が浮かぶ。森保監督をはじめ、日本サッカー協会はレアルからOKをもらっているのだろうか?

 ご存知の方も多いだろうが、五輪の場合、日本側は海外クラブに対して日本人選手を出場させる強制力を持たない。例えば東京五輪にOA(オーバー・エイジ)枠での選出を考えていた大迫勇也(29)の場合、所属するブンデスリーガのヴェルダー・ブレーメンは早々と東京五輪出場を拒否してしまった。

 2016年のリオ五輪では、「クボ」は「クボ」でも久保裕也(25)の出場を巡って大騒ぎになったのは記憶に新しい。

 当時、久保はスイス・スーパーリーグのBSCヤングボーイズに所属。クラブ側は久保の五輪参加を認めていた。ところが五輪の開催直前にFWの選手が負傷、久保を出場させる必要からいきなり参加を拒否した。慌ててバックアップ・メンバーとして帯同していた鈴木武蔵(25)と入れ替えるドタバタ劇があった。

 A代表ならまだしも、五輪チームで久保を中心にしたチーム作りは、このような危険をはらむ。

久保はバルセロナの下部組織で育ったため、18歳になる今夏の復帰は既定路線だった。そしてクラブ側は最初の2年間はBチームでのプレーを条件とした。もし、久保がバルセロナに入っていれば、東京五輪への出場はOKだったのかもしれない。

 それを久保は「Bチームでのプレーは1年間、2年目からはトップチームへの昇格」を訴え、バルセロナと決裂。それをレアルが呑んで移籍が実現した。

 つまり久保は来夏、トップチームでレギュラー争いに挑む。極めて重要な時期だ。「五輪どころではない」と言っても差し支えない。クラブ側も本音は同じだろう。東京五輪に久保が出場できない可能性は厳然として存在するのだ。

 同じことはベルギー・プロ・リーグのシント=トロイデンVVに所属する冨安健洋(20)や、オランダ・エールディヴィジのフローニンゲンに所属する堂安律(21)にも当てはまる。松本山雅の前田大然(21)もバルセロナが獲得に動いているとの噂がある。

 つまり現時点で久保、冨安、堂安、前田の4人が東京五輪を欠場する可能性がある。日本はベストメンバーで東京五輪に出場できないかもしれないのだ。

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