原発ゼロ「小泉純一郎」を操る「正義の弁護士」の下半身裁判

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 小泉元総理は、いまやイコール原発ゼロだが、それを陰に陽に支え、操っている男をご存じか。かつては「政財界の用心棒」として知られ、いまは「正義の弁護士」として鳴らす河合弘之氏(75)がその人だが、ご自身の恥ずかしい裁判からは目を背けたいようで。

 小泉純一郎元総理が、

「国民多数の賛同を得て、近い将来、必ず原発ゼロは実現する」

 と、例の口調で力を込めたのは、昨年1月10日のことだった。永田町の衆議院第一議員会館ではこの日、市民団体「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」(原自連)が「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」を発表し、顧問の小泉氏は、同じく顧問の細川護煕元総理と共に登壇したのである。

 この「原自連」なる団体だが、キーマンは、くだんの会見で小泉氏の隣りに座っていた人物で、幹事長兼事務局長を務める河合弘之という弁護士だ。

 脱原発弁護団全国連絡会を立ち上げて共同代表に就くとともに、浜岡原発差止訴訟弁護団長、大間原発差止訴訟弁護団共同代表などをこなしている。東京電力の経営陣の責任を明確にするために、株主代表訴訟を提起したのも河合氏だ。

 全国の原発差し止め訴訟をリードする河合弁護士が、小泉元総理と結びついた経緯は、昨年7月24日付朝日新聞夕刊に詳しい。

〈この(反原発)運動には保守層も引っ張り込まないと実らない。だからこそ、小泉と組まねば。河合はそう思い定めた〉

 そこで、河合、小泉両氏について評伝を書いている大下英治氏に頼み、元総理と杯を交わしたそうだ。

〈河合は懇意になった小泉に相談を持ちかけた。原発を進める大手電力は電気事業連合会(電事連)という組織のもとに団結している。なのに、脱原発や再生可能エネルギーの組織は全国でばらばら。「こっちも団結しないといけないのでは?」。河合がそう問いかけると、小泉は「いいね、やろうよ」。そうして17年4月の「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」の結成にいたる〉

 そう書かれている。

 ちなみに、「原自連」という語呂が「電事連」を意識したものであるのはもちろんだが、とまれ、「原自連」は事実上、設立を企図した河合弁護士の団体だといえる。社会部記者によれば、

「現在、小泉氏の仕事の中心は、各地の講演会で原発ゼロを訴えることで、その主催者が原自連です。今年1月には、経団連の中西宏明会長が原発に関して公開討論を提唱したのを受けて、原自連が小泉氏や河合氏の連名で、経団連に公開討論会の開催を要請したのが記憶に新しいところです」

 いわば、小泉元総理を操る“振付師”が河合弁護士、という構図なのである。

 そのうえ河合弁護士は、

「話題のスルガ銀行の不正融資問題で被害者の弁護団長を務め、東京医大の不正入試問題でも、当事者と支援者の弁護団を結成しました。それに、原発差し止め訴訟などは手弁当に近いので、いまや“弱者の味方”とか“正義の弁護士”といった評価を、ほしいままにしています」(同)

 ところで、河合弘之という名を、別の文脈で目にした記憶がある方もいるだろう。1979年のダグラス・グラマン事件を皮切りに、本人がホームページ上で、

〈これ以降、政財界の事件の用心棒弁護士として大舞台に登場していくことになるのです〉

 と自画自賛するほどの活躍を見せた御仁でもあるのだ。なにしろ、平和相互銀行事件、リッカーミシン事件、政界金屏風事件、国際航業仕手戦、イトマン事件等々、バブル前後の名立たる経済事件を数々手がけている。それに顧問を務めたのも秀和、イトマン、国際航業、小谷光浩、横井英樹、中内功……と、良くも悪くも大物ばかり。

 それについて、河合弁護士は雑誌などのインタビューで、“バブル紳士の用心棒”として、かなり儲けたことを認めている。そのうえで、それだけの一生でいいのか、などと考え、人間全体にとって普遍的なテーマに取り組むべきだと腹を決め、脱原発に傾倒していったのだそうだ。

 こうしてかつての強者の用心棒は、いまや弱者に寄り添い、「しんぶん赤旗」で絶賛される存在に転身した――はずだったのだが。実は、冒頭で紹介した会見後間もない昨年1月19日、東京地裁に提訴された「不貞行為慰謝料等請求事件」の訴状には、勇ましい弁護人としてではなく被告として、河合弁護士の名が記されていたのである。

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