日米中ロの首脳をストーカーする文在寅、韓国国民の前で虚妄の“外交大国”を演出

鈴置高史 半島を読む 韓国・北朝鮮 2019年6月2日掲載

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「仲裁者」のお株を奪う日本

 文在寅政権は日本に対してもG20の場を生かした日韓首脳会談を打診する。ただ、当初は本気ではなかった。

 5月9日、就任2年を記念した会見で日韓関係について聞かれた文在寅大統領は「日本の政治指導者が常に国内政治問題として扱うため、歴史問題は解決しない」と語り、安倍晋三首相に関係悪化の責任を全面的に押し付けた。

「(G20首脳会議で)訪日するので、その際に安倍首相と会談できればよい」とも答えたが、「責任転嫁発言」から考えて、会談には乗り気ではないと受け止められた。

 だが、5月25日からのトランプ大統領の3泊4日の訪日で風向きが変わった。日米の蜜月ぶりを見た韓国人が自らの孤立を痛感したからだ。

 中央日報は社説「日米は蜜月なのに韓国は『蚊帳の外』」(5月28日、日本語版)で「日本が米国との関係強化を基に北朝鮮との仲裁者になるかもしれない」と警告を発した。

 米国とも日本とも関係が悪化した韓国は、「仲裁者」というお株を奪われるとの焦りの表明だ。日本からすればあまりの過大評価だが、韓国からはそう見えるのである。

「安倍が恥をかくぞ」

「北朝鮮との仲裁者」が唯一の売り物の文在寅政権も、このままではまずいと考えたのだろう。韓国政府の関係者が日本の外交関係者に日韓首脳会談に応じるよう訴え始めた。

 もっとも韓国政府には、対日政策を軌道修正する考えはみじんもない。日韓の外交的な約束を踏みにじったいわゆる「徴用工」判決も放置する。自衛隊機に向けての射撃管制レーダー照射も「なかった」と言い張る。

 日本はそんな韓国を相手にしない。すると韓国側は、「G20を主宰する安倍首相が客として呼ぶ文在寅大統領と会わなければ、日本が恥をかくことになる」との理屈をこねだした。

 もちろん、こんな屁理屈は通用しない。「日本に対し無法を繰り返す韓国の大統領と安易に会うほうが恥をかくことになる」と言い返されたらお終いなのだ。

 そもそも北朝鮮の核武装を幇助する韓国とG20を期に首脳会談を開けば、日本は世界に誤ったメッセージを送ってしまう。

 トランプ大統領と同様、安倍首相も「会っても意味のない人」にストーカーされるに至ったのである。

習近平にもプーチンにも

 文在寅大統領に追いかけられる、という点では習近平・中国国家主席も同じだ。4月30日、青瓦台の報道官は「韓中の首脳会談を推進するために中国側と緊密に意思疎通している」と語った。

 これを受け、中央日報が「習近平氏は訪韓するのにトランプ氏が来なければ? 韓国外交当局が苦心」(4月30日、日本語版)で「習近平主席が大阪でのG20出席を利用して訪韓する可能性がある」と報じるなど、韓国では中韓首脳会談の6月末開催が既定事実のように語られていた。

 だが、これも「韓国の妄想」だった。5月25日に韓国各紙がソウル市内のホテルの予約がキャンセルされたことを理由に「習近平の6月訪韓なし」と報じた。

 5月28日の中国・外交部の定例会見で韓国記者から「訪韓取り消し」に関し聞かれた報道官は「私はそんな計画も取り消しも聞いたことがない」と冷ややかに答えた。

 習近平主席の訪韓は北朝鮮訪問とセットで語られていた。米中経済戦争が激化する中、米国との関係悪化の危険を冒して習近平主席が訪朝する可能性は低い。

 それなのに韓国人は「米国の大統領も同時期に呼んであるから、ソウルが米中両大国の外交舞台になる」と言い合っていたのだ。

「呼びつけられる」という意味ではプーチン大統領も同じだった。4月25日、文在寅大統領は訪韓したロシアのパトルシェフ安全保障会議書記らと会談し「できるだけ早い時期にプーチン大統領が訪韓することを願う」と述べた。ロシア側は返事をしていない。

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