貴景勝、新大関場所を異例の再休場で「綱取り」「力士生命」はどうなる?

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気が強くても…

 そして20日。看板力士が1日だけ復帰して再休場する異例の事態となった。

「こんなこと前代未聞です。結果論ではありますが、再出場には親方衆からもかなりの批判が出ています。彼はまだ若く、力士生命を賭ける年齢ではない。一方で、再出場した気持ちに理解を示す向きも、少数ながらあります。横綱を目指して突き進むなかで、“上がり目”にあるいまの勢いを失いたくなかったのだろうというのです」

 先の記者がこう言えば、相撲協会関係者は、次のように憤る。

「19日の復帰は時期尚早との声が大多数を占めていたのに、貴景勝は、“休むのは簡単。この経験が何年かあと、必ず自分を成長させてくれる”と決断したわけです。気持ちが強いのはいいことですし、番付を上げる条件でもありますが、気が強くても土俵で強くなければ意味がない。自己管理だって能力のうちなんです。今度の一件で、彼の言う“何年かあと”がちゃんとあるかどうかすら、怪しくなった気がしています」

 そして、まだまだ先の話だが、と前置きしたうえで、

「貴景勝が綱取りに挑む機会に恵まれたとします。もしそのとき、どこかを痛めていたら、親方やトレーナーといった周囲が、大事な場面で彼の言うことを100%は信用できなくなってしまいました。その意味でも、今回の再休場はとても危うい失敗と言えるのです」

 元NHKアナウンサーで東京相撲記者クラブ会友の杉山邦博氏は、

「痛み止めを打ちながら無理を承知のうえで出場し続け、怪我が悪化してしまった例はいくらでもあります。膝ではないですが、元横綱稀勢の里もそうでした。とにかくきちんと治すべきです。無理をした結果、22歳の逸材の相撲人生が頓挫してしまうなどということはあってはなりません」

 再休場の診断書には、「右膝骨挫傷」の診断結果も加わった。

週刊新潮 2019年5月30日号掲載

ワイド特集「スターの代償」より

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