ZOZO前澤社長のビジネスモデル崩壊を招いた「つけ払い」専門家が解説

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ビジネスモデルは崩壊

 5月末に、『会計と犯罪―郵便不正から日産ゴーン事件まで―』(岩波書店)を上梓する、会計評論家の細野祐二氏は、

「ZOZOのビジネスモデルは崩壊しています。昨事業年度は、月に10億円を超える資金が流出しており、いずれ資金破綻する可能性があります」

 と指摘する。氏の手になる財務諸表危険度分析プログラム「フロードシューター」による分析に耳を傾けよう。

「ZOZOは、2016年から『つけ払い』サービスを始めました。これは、商品到着後に顧客へ送付される請求書に基づき支払いが行われる代金決済方法を指します。この決済期間は60日であり、クレジットカードの決済期間が通常約20日なのと比べて回収期間は長期化します。一方、ZOZOは商品販売後20日ほどで、アパレルメーカーに対して販売代金を支払うことになっています」

 つまり、

「以前は売掛金の『入金サイト(入金猶予期間)』とメーカーへの『支払サイト(支払猶予期間)』が共に約20日で、運転資金が要らない資金構造でした。しかしそのバランスが崩れ、売り上げが増えるほど運転資金が売掛金と在庫に“寝る”ことになったのです」(同)

 細野氏は、「織物・ニット製衣服製造業」(経産省2016年調査)の平均粗利率が19%程度だったことを引き合いに出し、こう続ける。

「他方、ZOZOの受託販売手数料は28%です。要するに、アパレルメーカーはZOZOに出店すれば自らの粗利率を大幅に超える受託手数料を取られるので、ZOZOでは利益を出すことが出来ない。それでもメーカーがZOZOを使うのは、在庫処分による資金化というメリットがあるから。だからメーカーは、短期的にはともかく長期的には、売れ筋を外れた在庫過剰商品をZOZOに出店せざるを得ない。ZOZOのビジネスモデルは、その過剰な受託販売手数料率によって崩壊することになるのです」

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