「セブン」「ローソン」食品ロス対策への疑問 なぜ現金値引きではなくポイント還元?

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 昭和に生まれ平成に花開いた日本のコンビニ文化が、令和で迎える転換期――。「24時間営業」の見直しに続きメスが入ったのは「食品ロス」の問題である。このたび2社が「弁当の値引き販売開始」と報じられたが、実情は「ポイント還元」。そこにはいかんともしがたい事情があるようだ。

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 セブン-イレブン(以下セブン)は5・8万トンで、ファミリーマート(以下ファミマ)は4・0万トン、ローソン4・6万トン……これは環境省が2013年に発表した、コンビニ各社の全店舗の食品廃棄物量(試算値)である(「スーパー及びコンビニエンスストアにおける食品廃棄物の発生量、発生抑制等に関する公表情報の概要」より)。

 数字が大きすぎてピンとこないが、資料では1日あたりの店舗の廃棄物全体量も言及されていて、それぞれ74・1キロ(セブン)、62・0キロ(ファミマ)、52・2キロ(ローソン)。6年前のデータではあるものの、いかにコンビニ食が無駄になっているかが伺える数字だ。

 こうした状況の打開策として、5月17日付の読売新聞が報じたのは、セブンの取り組みだ。記事によると、消費期限が4~5時間に迫ったおにぎりや弁当などを対象に、価格の5%をセブンが展開する電子マネー「nanaco(ナナコ)」で還元する形で販売。今年秋からの施策だという。

 同じくローソンも、17日に食品ロスに向けたプログラム「Another Choice(アナザーチョイス)」を発表した。こちらは愛媛県と沖縄県の店舗で6月から8月まで実験的に行われる取り組みで、深夜から早朝に配送するおにぎりや弁当に「アナザーチョイス」のシールを貼付。愛媛では16時から翌1時、沖縄では16時から23時に対象の商品を購入すると、100円につき5円が「Ponta(ポンタ)」あるいは「dポイント」で還元されるというもの。同時に5%分が子育て支援に寄付もされる。

 長きにわたる食品ロスの問題に取り組む姿勢を見せた格好だが、

「期限の迫った食料品の購入を促すために、見切り販売で“お得”に売るという仕組みはわかる。だが、それならばポイント還元などまわりくどいことをせず、直接、割り引いて売ればいいのでは。そんな声がSNSを中心に少なくないですね」(業界紙記者)

〈これは「見切り販売の容認」では無く単なるポイント還元〉との日本共産党の辰巳孝太郎参院議員のツイートを筆頭に、〈「「現金値引き」にしてくれよ〉〈nanacoが無いと得しないという落とし穴〉〈自社のポイントで還元って、セコい!〉といった声がちらほら……。

 なぜ“現金値引き”“直接値引き”にしないのか。両社に聞いてみた。

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