「就活マナー本」のウソ ES送付の封筒は白、面接後には御礼メールは送るべき…

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面接官は恐れるに足らず

 ここまではさまざまな就活マナーの無意味さについて言及してきた。とはいえ、それを良しとする面接官がいることも事実である。

「まずは、就活マナーを気にしすぎる大人を撲滅するべきですね。そういう人がいるから就活生は安パイを取って、うさん臭いマナーに手を出さざるを得なくなる。採用する側にも責任の一因はあります」

 就活マナーを真に受けたまま社会人となり、面接官の立場になった彼らは、そのときに覚えたガチガチなマナーを将来の就活生に求めてしまうという。

「決まりごとに対して従順な人間を求めるというのが、日本の採用の目的になっている側面もあります。しかし、そんなところだけを見て人を見抜いた気になるようでは、一人前の面接官とはいえません。見る目に自信がない人ほど形にこだわりたがるんですよね。形で落としたがる体質の会社は、入ってからも無駄な苦労がありそうです……」

 就活マナーでは判断できない部分にこそ、その人のポテンシャルがある。企業の面接官も、マナーの奥にある本質を見抜くことが有為多望な学生に対するマナーなのだ。

「就活生の多くは、面接官をとても怖い存在だと思っているかもしれませんが、そう思い込むのも考えものです。彼らを過剰に恐れてしまうと、マナーのことで頭がいっぱいになり、本来の自分らしい受け答えができなくなってしまう。受験する会社への心遣いは大切ですが、力の入れ場所を間違えないように。上っ面なマナーを習得する時間があったら、その会社や業界の仕事をしっかり理解して自分なりの考えをまとめておきましょう」

 指南書に書かれているマナーがすべて正しいとは限らない。マニュアル本のマナーの真偽を自ら考え、取捨選択することこそ、面接を通過するための第一歩ではないだろうか。

取材・文/沼澤典史(清談社)

週刊新潮WEB取材班

2019年5月22日掲載

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