「令和おじさん」がポスト安倍に急浮上 菅官房長官のアキレス腱とは

政治2019年5月18日掲載

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 4月1日、新元号「令和」発表という「歴史的な瞬間」の舞台に立ち、一躍「ポスト安倍」の有力候補に浮上した菅義偉官房長官。その地味な政権の「黒子役」が5月9~12日の訪米で華々しい外交デビューも果たした。このまま後継首相レースのトップランナーとしてゴールを切れるのか――。しかし「政界一寸先は闇」。先はまだまだ長いのである。

「裏を返せば官房長官を歴代最長の6年以上もやっているのに、驚くほど国民にはなじみがなかったということだ。新元号発表までは歴代で最も“無名”の官房長官だったかもしれない」

 自民党のベテラン秘書は、ライジングスターたる菅氏をそう評する。

 このところ永田町、霞ヶ関での菅氏の“株”はうなぎ登りだ。「令和おじさん」の愛称も女子高生たちの間で一気に広がるなど、菅氏が知名度を上げるうえでも令和効果は予想以上に大きかった。出所不明の「菅内閣」の閣僚名簿も永田町に流れた。

 そして、その余韻に浸っての訪米だった。菅氏の海外出張は4年前の10月、在沖縄米海兵隊の移転先となる米領グアムを訪問して以来のことだ。拉致問題担当相として北朝鮮による拉致問題解決に向けて日米の連携を確認する――というものだったが、それはあくまで表向きの理由にすぎなかった。

「米国側も菅氏を日本の『政権ナンバー2』、いや『政権ナンバー1.5』とみなして厚遇してくれた。トランプ米政権は今後、菅氏の存在を重視してくるだろう」

 外務省関係者は、先の菅氏の訪米をそう総括する。

 菅氏は10日、目玉だったトランプ政権ナンバー2のペンス副大統領との会談や国連本部での講演をこなし、訪米日程を終えた。

 ペンス氏とは北朝鮮の短距離弾道ミサイル発射や日本人拉致問題、在日米軍再編など幅広い分野で連携することで一致した。安倍政権の要として存在感を増す菅氏には米側も9日、シャナハン国防長官代行、ポンペオ国務長官ら政権幹部が相次いで会談に応じ、強固な日米関係を演出した。

 本来、日本の政権ナンバー2は副総理を兼務する麻生太郎財務相だが、危機管理担当で外交の表舞台に立つことは稀な菅氏を、米側は「青田買い」よろしく破格のもてなしで迎え入れたようである。

 折しも7月上旬に、安倍晋三首相が「無条件」で金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との日朝首脳会談を行う方向で調整中とされる。むろんその実現には、米側からお墨付きを得るのは不可欠である。それだけに官邸も、外務省から鈴木量博北米局長、金杉憲治アジア大洋州局長、山上信吾経済局長の3局長を揃って菅氏に同行させる「首相級の異例の陣立て」(官邸筋)を敷いた。

 かくして菅氏は、ご満悦そのもので、ニューヨークでの“締め”の記者会見で「(米側と)拉致問題の早期解決や米軍再編の着実な推進に向けて連携を確認することができた。大変有意義だった」と成果を強調してみせた。

 その外交成果の具体的な中身は不明だが、ポスト安倍をめぐる菅氏の存在を世に知らしめるだけの大きな効果はあったといえる。

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