数値を隠す「王将」「丸亀製麺」 栄養成分“公表拒否”の外食チェーンを独自調査

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チグハグな対応

 そして、こちらの表が“問題”のチェーン店である。外食店で出されるメニューについては、塩分などその栄養成分を表示する法的義務はない。消費者庁にその理由を聞くと、「食事を作っている人が目の前にいるため、お客さんが直接、栄養成分を聞くことができるから」(食品表示企画課)だそうだ。忙しい店員にどれだけの人が尋ねるのか、法の実効性に首を傾げざるを得ない。が、それはともかく、義務がないのをいいことに、HPやメニュー表など、容易に客がアクセス出来る箇所に塩分数値を公開していない大手外食チェーンが6店あった。「丸亀製麺」「富士そば」「ゆで太郎」「餃子の王将」「天丼てんや」「かつや」の各店である。

 これらに栄養成分について取材をしてみたが、「てんや」を除いて公表拒否。もっとも、消費者窓口に電話をすると、逆にほとんどの店でメニューの一部とはいえ回答をしてきたから、対応のチグハグさが目立つのである。

 取材に加え、一部の店については、関東近県のISOを取得している検査機関に依頼し、メニュー数点の塩分数値を独自に調査してみた。

 表を見ればわかるように、やはりどこの店も高めの数値が見られる。

 また、「富士そば」「ゆで太郎」のそばチェーンに至っては、ほとんどまたは全てのメニューについて塩分量をまとめてすらいない。客にとっては、どんなものを出されるかわからない“不安”が付いて回るのである。

 それぞれの店にデータ非公開の理由を聞いてみると、

「各店舗において、お客様の面前で手作り調理するというスタイルから、表示した塩分量と実際の提供メニューの誤差が生じうることを考慮し、お客様に誤った情報を提示しないために、塩分量の表示はしておりません。塩分控え目で注文いただけましたら、なるべく意向に沿う形での調理をさせていただいております」(餃子の王将)

「減塩及び食品表示の方法について、引き続きよりよい取り組みを進めるべく努めてまいります」(丸亀製麺)

 等々の回答が返ってきた。

「栄養成分の公開の仕方一つで、企業の消費者に対する姿勢がわかる」(管理栄養士で、京都医療センター臨床研究センターの河口八重子研究員)

 公開を少しでも憚ることなかれ。

“塩対応”は禁物である。

週刊新潮 2019年3月21日号初出/2019年5月3日掲載

特集「塩分『非開示』メニューを独自検査! 食べてはいけない『外食チェーン』第2弾」より

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