「宮本亜門」に前立腺がん、著名人が健康番組で人間ドック受診は“三方一両得”のウラ

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原点は“データ捏造”問題

 話題になったものから、一部をまとめて表にしてみた。

 クロちゃん(42)に至っては、2回も取り上げられている。2018年10月の「名医のTHE太鼓判!」で動脈瘤が発見され、19年1月に手術。更に3月の同番組でポリープが見つかった。こんなジャンルにも“常連”の芸能人がいるのだ。

 民放キー局で制作を担当する関係者は「この“鉱脈”を見つけるために、ずいぶんと民放は痛い“授業料”を払いました」と振り返る。

「健康番組は昔から一定の需要があり、制作サイドには視聴率を見込めます。『午後は○○おもいッきりテレビ』(日本テレビ系列:1987~07年)や、『発掘!あるある大事典』(フジテレビ系列・関西テレビ制作:96~04年/『II』04~07年)では、食材の効用を強く打ち出して人気を呼びました。そんな中、『発掘!あるある大事典II』が07年1月に納豆のダイエット効果を放送すると、『週刊朝日』が疑義を呈したのです。関西テレビも『血液検査を行っていないにもかかわらず、虚偽のデータを発表した』と発表、謝罪し、大問題に発展しました」

 関西テレビは役員などを処分。その後も調査を続け、「あるある」では10を超えるオンエアで捏造や改ざんなどが認められた。世論の批判は極めて強く、民放キー局では「自分たちが取材した結果に責任を持ち、健康に関する情報を発信する」という番組の制作が困難になってしまう。

「そこで制作サイドは、医師に監修を担当してもらい、プロの診断をそのままオンエアする手法を編み出します。反省に立脚した改善とも言えますが、医師に責任を押し付けていると解釈することも可能です。とはいえ、芸能人が診察を受けるところを撮影するというアイディア自体は古くからあり、もう10年以上も前からチャレンジしていました」(同・関係者)

 制作側からすると、個人の健康情報を元に番組を構成できる極めてリアルなレポートになるのは間違いない。どうしても実現したいと意気込むわけだが、当初、芸能人の受け止めは違ったという。

「企画の意図を説明し、『人間ドックを受診するところを撮影させてください』と依頼しても、『多忙で時間が取れない』、『面倒くさい』、『見世物になるようで嫌だ』、『病気が見つかるのは怖い』と拒否されることは珍しくありませんでした。その流れを変えたのが、山田邦子さん(58)です」(同・関係者)

 07年1月に「あるある大事典」の改ざん問題が浮上、3月には総務省が関西テレビを行政指導。4月には検証番組が放送されるという騒動の中、6月に山田邦子は乳がんの罹患と摘出手術の成功を発表する。

「山田さんは『最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学』(編集部註:現在は『名医とつながる!たけしの家庭の医学』[テレビ朝日系列・朝日放送制作])の出演がきっかけで、乳がんを発見しました。番組中に紹介された自己検診で異変に気づき、収録後にスタッフを通じて医師と連絡を取り、診断してもらったんですね。世の健康ブームもあって、芸能界全体でも健康管理に気を配る風潮が高まりました。事務所が所属タレントのスケジュールを調整して人間ドックを受けさせることも日常化すると、出演依頼に『山田さんが乳がんを見つけたのなら、私も出てみよう』という芸能人も増えていったというわけです」(同・関係者)

 下世話な話だが、芸能人にとっては金銭的なメリットも無視できない。番組の制作費で人間ドックが受診できる。更に病気が見つかっても、完治すれば「講演や著作で稼げるかもしれない」という算盤勘定もある。

「最近では芸能事務所からの売り込みさえあるそうです。事前に診断するとヤラセになってしまいますから、所属する芸能人のうち、暴飲暴食、ヘビースモーカー、肥満、運動不足、病院嫌いといった“問題タレント”を制作スタッフに伝えるわけです」(同・関係者)

 テレビ局は、ヤラセ問題を解決して安堵。高齢化が進む視聴者は、リアルな健康番組に興味津々。そして芸能人は、人間ドックを受診してギャラを手に入れる。まさに“三方一両得”というわけだ。

 制作スタッフからは「唯一のリスクは病気が見つからなかった時」という冗談も飛び出す。どうやらカメラの前で人間ドックを受診する芸能人は、今後もますます増えそうだ。

週刊新潮WEB取材班

2019年4月25日掲載

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