「小泉進次郎」が落語雑誌に登場 評論家曰く“彼は落語の本質がわかってないね”

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 落語好きの必携誌「東京かわら版」4月号の巻頭エセー(エッセーではない)「落語と私 私と落語」に、昨年11月に設立された落語議連(落語を楽しみ、学ぶ国会議員の会)の発起人であり、事務局長も務めている小泉進次郎代議士(38)が登場した。政界の落語通として知られる男が、日本で唯一の演芸専門誌に満を持しての登場だ。あの弁舌爽やかな自民党のホープが、落語について、いったい何を語ってくれるかと期待したのだが――。

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〈僕は中村仲蔵マニアなんです。好きな演目は何かって聞かれたら『中村仲蔵』……〉

 国会議員にギャグを期待したわけでも、笑わせて欲しいわけでもないけれど、「堅すぎるぞ、進次郎!」と思った落語ファンは少なくないのではないか。

 ご存知ない方のために説明すると「中村仲蔵(初代)」とは、いわゆる大部屋俳優から看板役者(名題)に上り詰めた、江戸中期に実在した歌舞伎役者である。しかし、今よりもさらに血筋が重要視された梨園の世界での大出世に周囲からのやっかみは大きく、看板役者にもかかわらずショボい端役しか与えられなかった。歌舞伎十八番「忠臣蔵」で振られた役は、ろくに客が見ようとしない“弁当幕”と言われた五段目のチョイ役・定九郎……。だが仲蔵は、創意工夫して現代まで受け継がれる魅力的な定九郎を作りあげ、大名跡となる――という実話をもとにしたストーリーだ。

 落語の演目のひとつだが、笑いの少ない人情噺であり、出世物語だ。内容的には講談に近い。実際、講談でも演じられている。

 進次郎氏がこの話を最初に聞いたのは、立川志の輔師(65)のものだったという。たしかに志の輔師の仲蔵は、名作と呼ばれるほど評判もいい。感動するのもわかる。だからといって、〈これからも中村仲蔵を聴き倒して、いろんな仲蔵を知りたい〉というのはどうか。

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