有休を取り家で仕事、ヤミ出勤にヤミ残業… 「働き方改革」という時短ハラスメント

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ヤミ出勤にヤミ残業

 ともあれ、企業の現場を確かめてみたい。

 大手住宅メーカー勤務の30代の営業マンが言う。

「私たちはお客さまの都合で働くしかなく、“残業するな”と言われても、残業しなければ現場が回りません。ですから、これまで月に80時間くらい、酷いときは120時間とか残業していましたが、去年6月に働き方改革関連法案が可決された前後、残業を月40時間に抑えろというお達しがあったんです。人も増やさずに、あまりに無茶な要求で、しかも、40時間を超えたら反省文を書かせるというんです。では現実にどうするかというと、タイムカードの出退勤時間はいじれないから、勤務表の休憩時間をありえない形で増やすしかありません。通常の12時から13時の休憩に加え、20時から23時まで休んだことにしたりするんです」

 休日はマシだというが、それも皮肉な意味で、

「“ちゃんと休め”といわれても、お客さんに呼び出されれば行くしかない。幸い、住宅展示場やお客さまのお宅への直行直帰の場合、タイムカードを押す必要もないので、ヤミ出勤にしています。現場の状況に気づけ、という会社へのメッセージとして、ひと月の残業時間を39時間59分と書いて出しています」

 そもそも社命に素直に従ったら、会社の信用が失われるだけではないか。

 大手IT企業の社員は、

「毎日、“今日は今月○営業日目です。今月あなたは○時間働いたので、1日の残業時間を○時間以内にしましょう”というアラートが、各人のパソコンに表示されます。すぐアラートが出るので、出そうになったらタイムカードを切りに行って、そこからヤミ残業をします。業務量はまったく変わらないので、残業するな、なんて不可能です」

 帰れ、休め、という時短ハラスメントで、従業員の仕事を妨害する以外のなにものでもなかろう。

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