米韓首脳会談で赤っ恥をかかされた韓国、文在寅の要求をトランプはことごとく拒否

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弾劾も視野に左右対立が激化

 どうせ保守派は「赤っ恥をかいた文在寅」と大笑いする。だったらせめて、支持してくれる左派からの称賛は得ておこうとの計算だろう。左派はハンギョレなど左派系紙しか読まないのだ。

 会談後、青瓦台(大統領府)高官は韓国メディアに「文大統領はトランプ大統領に南北首脳会談の開催方針を伝え、肯定的な返事を得た」と明かした。これも「米韓首脳会談がうまくいった」とのイメージ作りだ。

 今回の首脳会談を材料に保守勢力が文在寅政権批判を強めるのは間違いない。そもそも政策の失敗により韓国経済は苦境に陥っている(デイリー新潮「文在寅の“ピンボケ政策”で苦しむ韓国経済、米韓関係も破綻で着々と近づく破滅の日」[19年4月5日掲載]参照)。

 ここで政権を責め立てれば、2020年の国会議員選挙で保守派が圧勝できる。保守の中には「もし3分の2の議席を確保すれば、文在寅弾劾も夢ではない」と語る人もいる。韓国の次の注目点は、国をも滅ぼす激しい左右対立である。

鈴置高史(すずおき・たかぶみ)
韓国観察者。1954年(昭和29年)愛知県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。日本経済新聞社でソウル、香港特派員、経済解説部長などを歴任。95〜96年にハーバード大学国際問題研究所で研究員、2006年にイースト・ウエスト・センター(ハワイ)でジェファーソン・プログラム・フェローを務める。18年3月に退社。著書に『米韓同盟消滅』(新潮新書)、近未来小説『朝鮮半島201Z年』(日本経済新聞出版社)など。2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。

週刊新潮WEB取材班

2019年4月12日掲載

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