白鵬は「平成の大横綱」にあらず? 相撲記者、好角家が選ぶナンバー1は

スポーツ 週刊新潮 2019年4月4日号掲載

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「平成の大横綱」の称号は誰の手に(1/2)

 平成の大横綱。栄誉あるその称号は、貴乃花にも白鵬にも使われるからヤヤコシイのだ。平成の世、土俵を彩った横綱はこの2人を含めて13人。果たして、真に平成の大横綱と呼ぶにふさわしい横綱は誰なのか。記者や好角家がガチンコで検証した、その結果は……。

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「平成に育ててもらいました」――

 今年の1月場所8日目、天皇皇后両陛下が観覧に訪れた際に横綱・白鵬はそう口にしたが、今場所優勝後にも同じことを言った。その裏には、平成の大横綱は自分をおいて他にはいるまい、という強烈な自負が感じられはしないか。

 しかし、本誌(「週刊新潮」)が行った調査の結果は意外なものであった。平成の大横綱の称号に最もふさわしい力士は誰かと記者や好角家に聞いたところ、誰一人として白鵬を挙げなかったのだ。

 ちなみに、本誌の調査に協力していただいたのは、スポーツ評論家の玉木正之氏、東京相撲記者クラブ会友の大見信昭氏、相撲ジャーナリストの中澤潔氏、漫画家のやくみつる氏、ベテラン相撲記者、角界ジャーナリストの6人である。評価の対象となるのは、平成の時代に短期間でも土俵に上がったことのある横綱、第58代の千代の富士から第72代の稀勢の里までの13人。識者にはこの中から1人を選んでもらい、加えて、その力士の名勝負を2番選出してもらった。

 白鵬を推さなかった理由については、

「確かに優勝42回はすごいことなんですが、なんといえばいいか、鼻についてきたんですよね」(中澤氏)

「白鵬については、とんでもない優勝回数を記録しましたが、やはり、土俵態度という点で、とてもじゃないけど推せない」(やく氏)

 審判の判断に不服を申し立てるため、土俵に20秒近くも仁王立ちするという前代未聞の出来事があったのは2017年の11月場所。やはり、「品格なき横綱」は「平成の大横綱」たりえない、というわけである。

「ある力士がこう言っていました。“今は全体的にレベルが落ちている。若貴時代に白鵬がいたら、10回優勝できたか分からない”。つまり、白鵬は『鳥なき里のコウモリ』ということ。実際、“若貴時代は現在よりレベルが高かった”というのは関係者の一致した見方です」

 とは、貴乃花に一票を投じた角界ジャーナリスト。

「当時、横綱には貴乃花の他に若乃花、曙、武蔵丸がいて、大関には貴ノ浪。魁皇や武双山がなかなか大関に上がれなくて、安芸乃島、琴錦、貴闘力が三役の常連でした。この3人だって、現在のレベルから見ればメチャクチャ強いですよ。全体のレベルがあれだけ高かった中で、ガチンコで22回も優勝しているのは本当にすごいことです」

 やはり貴乃花を推した大見氏も、

「当時は巨漢のハワイ勢が隆盛を極めていた時代。そこに決して大きくはない日本人力士が一人、戦いを挑んでいったところに多くのファンは喝采していたのです」

 として、こう話す。

「さらに、宮沢りえとの婚約、河野景子との結婚、洗脳騒動に兄弟不仲説と、土俵外でも様々なドラマを見せてくれるとあって、その人気はうなぎ上りだった。親方になってからも話題には事欠かず、18年には自爆するような形で相撲界を去ったこともあり、やはり『平成の大横綱』にふさわしい」

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