「いだてん」喫煙シーンはNG? テレビ業界「たばこ」と「酒」の奇妙な逆転現象

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一方で酒番組はブーム

 JTの調査によると、成人男性の喫煙率ピークは1966年の83.7%、それが18年は27.8%にまで減少している。喫煙者が“雲散消滅”したのだから、テレビからたばこが“追放”されて当然なのかもしれない。

 ところが、たばことは対照的に、もう1つの“嗜好品”の雄である酒は、現在のテレビでは大人気だという。

「草分けは、BS-TBSで03年から放送されている『吉田類の酒場放浪記』でしょう。地上波では、日本テレビの『1億人の大質問!?笑ってコラえて!』が14年からスタートさせた『○月×日(金)△△駅で朝までハシゴの旅』のコーナーが嚆矢ではないでしょうか。大物の参入は、『ダウンタウンなう』(フジテレビ系列)で『本音でハシゴ酒』のコーナーがメイン企画となった15年8月、松岡昌宏さんの『二軒目どうする?~ツマミのハナシ~』(テレビ東京系列)は17年4月から始まっています」(同・制作関係者)

 酒の場合、以前のほうが視聴者からのクレームが多かったという。たばこと綺麗に反比例しているところが興味深い。

「テレビでたばこを吸うことがOKだった時代では、逆に飲酒するシーンは、年末年始の番組で許されているくらいでした。いや、それでも『仕事中に酒を呑むなんて不謹慎だ』と苦情の電話はかかっていましたね」(同・制作関係者)

 確かに、仕事中にオフィスでたばこを吸うことは禁止されていても、喫煙所に向かうことは問題がない。しかし、勤務中でも利用できる「飲酒所」がある会社は、皆無に近いだろう。運転中にたばこを吸うのは法律に違反しないが、酒は問答無用でアウトだ。

「今でも酒に批判的な視聴者がいるのは事実ですが、さほど多くはありません。今は『酒を呑んだ出演者は本音を語ってくれる』『酔うと意外な素顔が見られる』と、多くの視聴者が好意的に見てくれています。そのため、酒を前面に押し出していない太川陽介さんと蛭子能収さんの『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』(テレビ東京系列:07年~17年)や、徳光和夫さんの『路線バスで寄り道の旅』(テレビ朝日系列)でも、酒を呑むシーンは見せ場の1つになっています」

 もっとも、飲酒量も減少している。厚生労働省の「平成28年国民生活基礎調査」によると、20代で飲酒習慣を持つ割合は、男性が14.5%、女性は僅か6.5%に過ぎない。ひょっとすると、たばこの次はアルコールもやり玉に挙げられるのだろうか?

週刊新潮WEB取材班

2019年3月17日掲載

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