撤退発表「梨花」から「吉永小百合」まで 女性芸能人“ファッションブランド”を大公開

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 まさに栄枯盛衰。2012年のオープン初日には2000人が行列を作り、1年で約35万人が来店した。国内で6店舗を経営していたが、年内で全店が閉鎖される――。

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 梨花(45)がプロデューサーを務めるファッションブランド「MAISON DE REEFUR」(メゾン ド リーファー)が撤退することになった。

 3月2日、自身のインスタグラムで閉店を発表。「私の力不足も含め、この大きなビジネスを保つことが、とても難しいと感じるようになりました」と釈明した。

 女性芸能人の知名度を活用し、昔から様々なファッションブランドが誕生し、消えていった。決して珍しいことではない。

 それでは現在も稼働しているブランドと、撤退が話題になったブランドをピックアップしてみよう。ブランドの“商品価値”は、全国日刊紙の記事数で計測してみた。

 具体的には朝日や読売、日刊スポーツやスポーツニッポンなど10紙をデータベースで検索、稼働組も撤退組も記事の多いブランドから順に並べてみた。

 まずは勝ち組から見ていこう。現在も営業を続けている女性芸能人のブランドでは、神田うの(43)が一頭地を抜いている。マスコミ露出は断トツと言っていい。

 そもそも01年にグンゼと協力して開発・販売した柄ストッキング「Tuche」(トゥシェ)が大ヒット、数億円を売り上げたという“実績”を持つ。今はウェディングドレスを筆頭に多角的な経営を行っているが、依然としてブランド力は高いようだ。

 それに続くのが渡辺直美(31)だろうか。一部の芸能メディアは「経営は順調」と報じている。また店舗でのPR活動などに熱心なことが公式サイトから分かるのが中川翔子(33)だ。実際、新聞に取り上げられる回数は多い。

 逆に露出を抑えているのがYOU(54)と一色紗英(41)、佐々木希(31)だ。特に一色の名前には懐かしさを覚える向きも多いだろう。

 表の通り、一色のブランドを取り上げた新聞はゼロだが、ディレクターとして関わる「archi」(アーキ)は18年に20周年を迎えた。

 また佐々木希は12年、自身がデザイナーを務める「Cotton Cloud」(コットン・クラウド)が休止に追い込まれ、大きな話題になった。

 リベンジの格好となった「iNtimite」(アンティミテ)はリアル店舗を開店せず、ネット販売に限定。週刊新潮は「アパレル撤退『梨花』踏みとどまる『佐々木希』の算盤勘定」(19年3月21日号)の記事で「収支トントンの低空飛行」の営業戦略が功を奏したと指摘している。

 いずれにしても、YOU(54)のブランドも合わせ、隠れた“勝ち組”というところだろうか。

80年代から死屍累々の現状

 勝ち組の次は負け組だ。ブランドの誕生から閉店までが大きく報じられたのが、篠田麻里子(33)がプロデュースした「ricori」(リコリ)になる。

 13年2月に新宿で1号店をオープン。その後は4店舗まで増えるが、14年7月に全店を閉店。篠田がツイッターで「私篠田麻里子も去年までアドバイザーとしてお手伝いしていただけに残念です」と心境を伝えたが、「いきなり『去年まで』と明かしたのは責任逃れ」、「文面が他人事のようだ」と批判を浴びた。

 ブランドの制作から退任したのは若槻千夏(34)だ。09年に「w♥c」(ダブルシー)にデザイナーとして参画。少なからぬメディアが売れ行きも好調だと報じていたが、13年に若槻が現場から距離を置くと発表。後に「ブランドが大きくなるにつれ、自身の作りたい服が作れなくなった」と明かした。だがブランド自体は現在も健在だ。

 同じ経緯を“卒業”と表現したのは木下優樹菜(31)。12年春からプロデューサーとして「Avan Lily」(アヴァン・リリィ)に関わっていたが、17年に卒業のコメントを発表した。

 文面では「5年の間に二人の子供を出産し、大きく環境が変わ」ったことを理由として挙げたが、一部メディアは運営会社から「解雇された可能性がある」と報じた。当時、木下のインスタグラムはたびたび炎上しており、ブランド価値の毀損を恐れたという内容だった。

 菊池桃子(50)の「Emom」(エマム)も公式サイトは残っているが、実質的に休止した状態だ。バックナンバーを見ると、07年から10年までの活動だったことが分かる。

 SNSの普及により、ブランドへの低評価が拡散し、その評判を裏付けるように休止したケースもある。

先に触れたが、佐々木希(31)が10年、原宿にオープンした「Cotton Cloud(コットン・クラウド)」は当初こそ芸能メディアに華やかなイメージと共に報じられた。

しかしながら、SNSでは「価格が高い」、「デザインが感心しない」と悪評が拡散。12年7月に「芸能活動と両立は難しい」と撤退を発表した。

 こうした栄枯盛衰は、今に始まった話ではない。芸能担当記者は「80年代後半から90年代初頭にかけても、“TCブランドブーム”がありました。原宿は当時、芸能人のブランドショップで埋め尽くされたものです」と振り返る。

「80年代初頭からファッションデザイナーの名前が前面に出た“DCブランド”が流行し、それをもじって芸能人が関与したファッションブランドを、『タレント』のTを採って“TCブランド”ともじったのです。ダジャレではありますが、現代用語辞典の『イミダス』(集英社)が見出しに採用し、代表例として松田聖子の『フローレス』、二谷友里恵の『ユリエ』、吉永小百合の『さゆり』(註:原文ママ)の3つを列挙しました」

 こちらも代表例を表にまとめてみた。特に40代以上の男女なら「懐かしい!」と思わず漏らしてしまうかもしれない。表は芸能人の五十音順に並べた。

 もちろん、今は跡形もなく消滅したものばかりだ。栄枯盛衰を通り越し、無常観の域に達してくる。

「TCブランドはバブル経済の徒花として盛り上がり、その後の“失われた20年”の不景気で消えていきます。気になるのは、日本は2009年から景気が回復基調に入ったとされ、12年から始まった『戦後最大の景気拡大』が期待されていました。ところが統計不正問題が発覚し、私たちの給与所得は減少している可能性が取りざたされています。芸能人のブランドが相次いで閉鎖に追い込まれているのも、いよいよ不況に入る前兆かもしれません」(前出の芸能担当記者)

 芸能人のブランドが“炭鉱のカナリア”である可能性があるわけだが、相次ぐ閉店の原因は女性芸能人のセンスが悪いためか、それとも我々の懐事情にあるのか?

週刊新潮WEB取材班

2019年3月18日掲載

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