間違いだらけの「がん検診」 子宮頸がんと乳がん、本当に受けるべきなのはこんな検査

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年齢・部位別に検証! 間違いだらけの「がん検診」(3/3)

 がん検診では、受診年齢によってはメリットよりもデメリットの方が大きい場合がある。実際、米国では医療保険を使った大腸がん検診は75歳までと決まっているというが、日本では、こうした“上限”についての国の指針は存在しない。だからこそ正しい検診の受け方を学び、「国民病」に備えたい。

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 子宮がんの場合は、部位によって体部の「体がん」と頸部の「頸がん」とに大別される。厚労省が検診を推奨する後者は若年層の罹患が多く、その対象も20歳以上と若い。

「頸がんの検診では、綿棒を膣に入れ、細胞を採取して顕微鏡で調べる『細胞診』が行なわれています。これで頸がんの死亡率が6割程度下がるという報告がなされていますが、そもそも発症にはHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染が強く関連していることが分かっている。このウイルスは性行為の開始とともに、生涯で50~80%の女性が感染すると言われています。そのうち90%以上の人はすぐにウイルスが体外に排除されますが、10%近くが持続して感染し続け、発症リスクが高まるのです」(『日本一まっとうながん検診の受け方、使い方』を著した「近藤しんたろうクリニック」の近藤慎太郎院長)

 つまりはこのウイルスの有無が重要であり、

「HPVの検査も細胞診と同じ手法です。欧州などではまずHPVを調べ、陽性の人だけ細胞診に進むのが主流ですが、日本では検査の効果が不明だとされ、検診では取り入れられていません。保険が適用されない人間ドックのオプションでは検査できるので、このHPVが見つからず、今後も性交渉など感染のリスクがなければ、子宮頸がんの検診の意義は低くなると思います」(同)

 もう一つの女性の天敵「乳がん」は、40歳から60代前半の女性の部位別死因トップで、今も年間1万4千人余りが亡くなっている。ベルーガクリニックの富永祐司院長が言う。

「乳がん検診を受ける適正年齢は世界的に40歳以上と決まっており、20~30代ではまず必要ありません。例外として25~40歳で受けたほうがいいのは、2親等以内に乳がんか卵巣がんに罹った人が2人以上いる『乳がん家系』の方のみです。この家系の方が罹る『遺伝性乳がん』は、全体のおよそ10%ですが、若い時に発症しやすく進行が速い。また30代でホルモン剤(ピル)を使っていたり、不妊治療をしている方は乳がんになりやすいと言われていますが、該当しない方は、若い時からマンモグラフィを受けても肉体的・金銭的デメリットが大きいので、不要だと思います」

 現在、厚労省の指針には含まれていないものの、マンモグラフィと並び、超音波(乳腺エコー)検査もまた、有力な方法である。

「病変の発見率はマンモグラフィが8割、超音波が7割と、どちらも万能ではない。加えて、日本人には高濃度乳腺の方が多いので、マンモグラフィでは乳房全体が白く写り、同じく白く写る病変と紛らわしく見落としてしまいがちです」(同)

 それはまさしく、雪原で白ウサギを探すようなものだという。従って万全を期すためには2種の併用は不可欠なのだが、先の近藤院長は“ひと工夫”することでより効果的になると言う。

「検診では、乳腺濃度の濃淡は通知されないことになっているので、マンモグラフィの検査時に『私の乳腺濃度は高いですか』と、レントゲン技師に尋ねてみてください。高かったら検査の信頼性が低くなるので乳腺エコーを併用するのがお勧めです。他のがんとは異なり、乳がんは70歳を境に罹患率が減少し始めるので、徐々に検診の意義は低くなっていきます」

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