「丸佳浩」の身代わりで広島放出「長野久義」に凡打でも温かい声援のワケ

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 元気ハツラツ! オロナミンC――と聞けば、颯爽とした巨人軍戦士たちが脳裏を駆け巡るが、こと長野久義(34)に関しては、巨人を放逐された今の方がハツラツとしている。

「彼は巨人入団時から、多くのプロ野球ファンを敵に回していましたからね」

 とスポーツ紙デスクが苦笑する。

 かねてよりG戦士になることを熱望していた長野は、日大卒業目前の2006年、日本ハムにドラフト4位指名されたが、拒否して本田技研工業へ。08年ドラフトではロッテに2位指名され、これも拒否。翌09年にようやく念願の巨人の1位指名を受けて入団を果たした。ドラフトという制度上、致し方ないとはいえ、この“熱すぎる巨人愛”にG党以外のファンはドン引きしたものである。

 ところが、そんな一途な長野を、巨人は切り捨てた。FAで広島から巨人に移籍した丸佳浩(29)に対する人的補償でプロテクトしなかったのである。結果、長野は今季からカープ戦士に。これもFA制度上、致し方ないわけだが、今回は長野にファンの同情が集まった。

「練習試合で打席に立つと、広島ファンはもちろん相手チームのファンからも拍手が沸き起こり、凡打でも温かい声援を受けています。おのずと長野の表情も、巨人時代には見たこともないほど柔和になっています」

 ただ、前途洋々というわけではない。

「年齢による衰えは隠せず、さすがに丸の穴埋めにはならない。そもそも広島は選手層が厚く、試合出場もままならない。巨人ではヒール役を受け容れ、“見返してやる”という反骨精神でプレーしていたが、それがなくなった。慣れない“ファンの温かさ”をプレッシャーに感じてしまうかも」

 駄目なら、今度は自分がFA宣言して古巣に出戻ればいいってか。

週刊新潮 2019年3月7日号掲載

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