“ネット炎上”で保険支払い 「バイトテロ」に対抗、企業のやむなき防衛手段

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 大手外食チェーン・大戸屋のアルバイト店員が、露出した股間にお盆を押し付けて踊る動画をネット上に投稿して炎上した。頻発する“バイトテロ”は企業ブランドを低下させるだけでなく、株価の下落を招くことも。そこで企業は、やむなく防衛手段を講じ始めているという。

「採用直前、バイトには“誓約書”を書かせていますが、どこまで効果があるかは疑問です」

 こう語るのは、量販店の幹部だ。

「職場へのスマホ持ち込み禁止も検討しましたが、あまり厳しくするとバイトが集まらなくなる恐れもある。事前策は手詰まりに近いが、問題発覚後に頼りになるのは損害保険でしょう」

 2年前に“ネット炎上対応費用保険”を発売した、損保ジャパン日本興亜の広報部の解説では、

「不祥事でネットが炎上すると、拡散防止やマスコミ対応などに費用がかかる。この保険は、そうした費用をお支払いします」

 年間保険料は売上高や業種などで異なるが、例えば年間売上100億円の建設会社があるとして、保険料60万円で上限1千万円が支払われるという。また、三井住友海上火災は、

「バイトが破棄した食材を提供して、万が一お客様が食中毒になり、営業停止に追い込まれたら、弊社の『ビジネスプロテクター』で対応できます」(広報部)

 こちらも条件次第で保険料は変動するが、年間売上1億円の飲食店で不測の事態が起きたとしたら、保険料15万3170円で最大3億円が支払われる。

 では、企業が最も気にする株価の下落を補償する保険はどうか。あいおいニッセイ同和損保に聞くと、

「“バイトテロ”で業績が悪化して、社長などが株主から訴えられた時のための“会社役員賠償責任保険”は扱っています。ですが、株価下落を補償する商品はチョット……」(広報部)

“株価補償保険”が売り出されれば、企業が飛びつくことは間違いなし。

週刊新潮 2019年2月28日号掲載

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