すき家、くら寿司、バーミヤン… 中国を笑えない「バカ店員動画」なぜ蔓延?

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「ゆとり世代」と重なる

 では、マトモな大人ならば誰もが眉を顰めるような「バカ動画」が、なぜこれほど蔓延しているのか。

 ITジャーナリストの井上トシユキ氏によれば、

「今回の騒動で炎上しているのは“動画”ばかりです。その意味で、ここ数年の間にインスタやTikTokといった動画アプリが流行し、誰もが手軽に動画を編集・投稿できるようになった影響は大きい。また、かつては高価だったスマホも、10代の若者でも手が届く廉価な中古品が出回るようになりましたからね」

 加えて、下品かつ過激な動画を「積極的に探して晒すことで、リツイートやフォロワーの獲得を目論む連中もいる」(中川氏)という。

 かくして、バカ動画が猛威を振るう土壌は整ったワケだが、それに興じる若者にはある共通点があった。

 そう、彼らの多くは「ゆとり世代」なのだ。実は、ゆとり世代の成長過程と、バカッター・バカ動画の流行は奇妙に符合する。

 13年のバカッター騒動は、ゆとり教育が導入された02年に小学生だった生徒が高校、大学に進学したタイミングと一致。そして今年、バカ動画を生み出した15歳以上の若者は、ゆとり教育を受けたことのある最後の世代に重なる。悪名高きゆとり教育は、子どもたちの学力だけでなく、道徳心までも奪い去っていたことになろう。さらに、井上氏が続けるには、

「バカ動画を投稿したのは、最初に買い与えられた携帯電話が“スマホ”だった世代でもあります。幼い頃からSNSを通じて人間関係を築いてきた彼らは、何よりも“ノリの良さ”を重視する。過激な動画を投稿する友人を諫めれば、“ノリの悪い奴”“陰キャ”と認定され、コミュニティから村八分にされてしまう」

 SNSと現実世界が直結している彼らは、学校での悪ふざけと同じ感覚でバカ動画を量産してしまう。その行為が招く当然の結果すら予見できないほどのバカが増えたということだ。

(2)につづく

週刊新潮 2019年2月21日号掲載

特集「日本人が道徳を失った『バカ店員動画』への溜息」より

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