“若者が新聞を読まない”は企業努力が足りないだけ(KAZUYA)

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 ネットが発達し、スマホを誰もが持つ現代において、紙媒体は危機的状況を迎えています。

 特に新聞は凋落が激しすぎます。一般社団法人日本新聞協会の調査によると、昨年の新聞発行部数は3990万部で、ついに4千万部を割り込みました。一昨年は4210万部でしたから、1年で約220万部の減少……10年前の2009年の段階では5千万部を超えていたのを考えると、かなりのスピードです。

「若者が新聞を読まないから」など、若者に原因を求める声はいつの時代も出てきます。

 だがちょっと待ってほしい。根本的にライフスタイルが変わっているのですから、紙媒体が衰退するのは自然の流れなのです。スマホやタブレットの普及で誰もがネットに接続し、ネットでニュースや記事を読む人は圧倒的に増えました。僕も新聞は電子版の有料会員になってタブレットで読んでいますし、週刊新潮も電子版オンリーです。新聞も雑誌も紙で買うと場所を取ります。電子版はデータですから、かさばることもありません。持ち運びも楽です。

 要は紙以外の魅力的な選択肢が増えたということです。技術革新によって日本人の習慣が変化している中で若者が新聞を読まないなどと言われても困りますし、単に企業努力を怠っているだけの話でしょう。音楽配信が発達した現代でレコードを売るのが難しいように、紙媒体自体が衰退していくのは時代の趨勢だという現実をしっかり受け止める必要があります。

 今後、新聞を取っている高齢者も減り、さらに部数は落ちていくでしょう。だからこそジャーナリズムを追求するために、現代においてしっかり利益を取れる業態はどのようなものかを考える必要があります。

 紙にも需要はあるので、これは継続しつつ、並行してネットにおける収益化を増進させるために、やはりネットをもっと活用する必要がありますし、動画メディアは避けて通れません。

 動画メディアは更に発展し、衰退することはないでしょう。全体的に視聴者は増加していますし、テレビのながら見ならぬYouTubeのながら見も今では普通になり、長い時間の動画でも見てもらえるようになったと感じます。本格的な5Gの高速通信が実現すると、視聴環境はさらに快適になるでしょう。

 新聞や雑誌を作る会社は僕からすると「勿体無い」と思っています。日々の取材から膨大な情報が集まっているでしょうし、コンテンツ自体はあるわけです。そうしたコンテンツを何故もっと有効活用しないのか? 動画配信は始めようと思えば大した設備投資もせずに始めることができます。もちろん会社ならば世間体もありますから、適当なことはできませんが、一定のクオリティのものは割とすぐにできるでしょう。

 現代人が情報を求めていないわけではないのです。情報を得るために使う媒体が変わっただけの話です。そこにいかに食い込んでいくかを考えなければ、業績は悪化していく一方でしょう。企業の本気度が試されます。

KAZUYA
1988年生まれ、北海道出身。12年、YouTubeで「KAZUYA Channel」を開設し、政治や安全保障に関する話題をほぼ毎日投稿。チャンネル登録者59万人、総視聴数は1億4千万回を超える。近著に『日本人が知っておくべき「日本国憲法」の話』(KKベストセラーズ)

週刊新潮 2019年2月14日号掲載

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