背伸びがバレたZOZO「前澤社長」 プロが読みとく経営状況、実際は“赤字14億円”!?

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実際は14億円の赤字?

「以上の試算を踏まえますと……」

 と細野氏は続ける。

「不良資産は合計で150億円ほどになる見込みです。136億円の純利益というのはある意味で見せかけの数字であり、実際は、14億円の赤字であると言えるのです。この会社は本来は資金繰りがとても良い会社であって、新規事業に手を出す前は、基本的には無借金経営でした。ところが、第2四半期に銀行から240億円を借り入れて自社株を600万株購入しました。その結果、前年度は408億円あった自己資本が201億円にまで減ってしまったのです。はっきり言って、資本はスカスカの状態。実際には赤字の状態なんですから、これを放置すれば、そう遠くない時期に債務超過に陥ってしまう恐れもあります。監査法人が決算上の問題を指摘しなければいけないのですが……」

 銀行借り入れの事実は財務諸表に記載されている通りだし、大量保有変更報告書からも、前澤社長は昨年5月23日、600万株を市場外でZOZOに対して売却していることがわかる。前日22日の終値などから計算すると、前澤社長は税金は別にして240億円ほどを手にしたことになる。

 細野氏の言うように「資本はスカスカ」になるにも拘らず、会社は借金をし、前澤社長から株を買い取った。それはなぜか。株式ストラテジストの中西文行氏は、

「オーナー会社の場合、社長が株を売るというのは、通常負のイメージです。自分の会社が成長するなら売る必要はありません。前澤さんが売ったところを見ると“さもしいのかな”というイメージを持ちました。経営者が株を売る場合、経営危機だというのがオーソドックスな見方ですが、この人は遊ぶ金が欲しい。そのお金を使ってかは知りませんが、千葉に豪邸を建てたり、何百億もする絵やプライベートジェットを買ったりしている。マーケットに売ってしまうと株価が下がりますから、市場外買い付けで一発で買って貰ったということです」

 と斟酌し、こう難じる。

「240億なんて大金、普通の人は一生かかっても稼げませんから。それを、たった1年で給料とは別に懐に入れておけるんです。万が一、会社の経営が傾いて株価が下落すると、自社株を売っても入る金は減りますから、高いうちに換金したと言える。宇宙旅行のように、個人で必要な資金があるんじゃないですか。悪く言うと、企業の私物化もいいところですよね。ZOZOは前澤さんにとって金のなる木のようなもので、大幅な株式分割もやらせて、自分の持ち株をどんどん増やしてきた。もちろん、その根底には、会社の規模が拡大しているということはあるにせよ……」

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