「大塚家具」宴の後、在庫一掃セール終了で売上大幅ダウン、再びやって来る“危機”

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中国との提携は上手くいくのか

「家具の小売りにとって3月は、入学や新生活のため、かき入れ時となりますが、1月は特別な月というわけではありません。しかし、それだけに年間を通した平均的な数字が出る月といえます。大塚家具にとっては、決算が12月ですから、新たな年度を迎えて気持ちも入れ替わる月でもある。それが今年は、前年比75%にまで落ちている。昨年(18年)の前年比83%という数字は、72億円もの赤字を出した17年の8割程度しか売れなかったわけです。それだけでも目も当てられないところに、さらに下回る数字となったわけです。このコケ方は異常です。もちろん、店舗が減っているからという言い訳はできるでしょう。昨年12月31日には、立川ショールームなど3店舗を閉め、今年1月14日には入間(埼玉)、柏(茨城)の2店舗も閉めていますから、売上が落ちるのもしようがない、と。しかし立川などは、同じ高島屋の下のフロアにニトリが入り、直接対決となって敗れた結果ですからね。もはや、どこまでも経営を悪化させる久美子社長の“才能”と言うほかありません」(同・事情通)

 もっとも、昨年12月21日には、中国の家具販売大手「居然之家(イージーホーム)」との業務提携を発表した。同日には大塚家具の株がストップ高ともなった。ようやくパートナーが見つかって、明るい兆しとはいえないのだろうか。

「資本提携も一緒にできて、お金を出してもらえるということなら、明るい兆しと取ることもできました。いや、それが生命線だったかもしれません。しかし、資本提携は“業務提携を進めながら今後検討していく”と悠長なことを言っています。相手のイージーホームも、大塚家具に魅力があると考えるなら、さっさと資本提携するでしょう。そして業務提携ですら、まだ様子見の状態でしょう。業務提携の内容には、〈当社を通じた中国製高級家具の日本市場への導入、販売〉とありますが、日本人に中国製の高級家具を買うという意識があるでしょうか。もちろん中国のアンティーク家具がお好きな方も一部にはいるでしょうが、一般的に中国製と言えば、安物のイメージが強い。昔ほど安かろう悪かろうではなくなったとしても、中国製高級家具を買うというマーケットは日本には確立されていません」(同)

 確かにそうだ。他にも〈イージーホームの知名度を生かした同社のハウジング関連企業やホテルチェーン等を通じた訪日中国人招致による日本における家具販売の増加〉に大きな期待ができるとある。つまり中国人の爆買いに期待しているということだろうか。

「2020東京五輪に向けたホテル建設ラッシュで、家具が売れるとも言っていましたが、どうなったのでしょう。久美子社長になってから、それまで実績やマーケットもないようなものを、無造作に実行に移してしまうところがありますからね。ただ、ノンビリもしていられません。現金も減って、1日でも早くお金が欲しいのは間違いありません。資金調達には第三者割当増資が使われると思いますが、新株を有利発行する時は、株主総会で特別決議を得なければならなくなる。株主総会は3月です。2月には取締役会が開かれるので、今月中に何らかの発表がなければ、中国企業との提携も大して役に立たなかったということになるでしょう」(同)

 何か明るい兆しはないのだろうか。元社員に訊いてみると、

「中国との提携を発表した日、それまで“未定”だった配当が、“無配”と修正されました。誰もがわかりきっていたことですが、赤字でも無理やり配当を出していた会社ですからね。ようやく常識的な判断をしたと言っていいでしょう」

 それだけ?

「それと、とりあえず今年の有効求人倍率は1.6と、経済環境は悪くありません。もちろん政府のデータが正しければですが。求人があるのなら、大塚家具でモチベーションを失った社員は、まだ可能性が待っているはず。結局、ECビジネスだなんだと言っても、小売りは接客なんです。特に会員制の高級家具を扱っていた大塚家具のような会社は、接客ノウハウひとつで、客単価が変わりました。ソファーに20万円の予算を考えてきたお客様に、もうひとつ上のソファーを勧め、いかによく出来た製品かを説明し、お客様にも納得してもらって、売れた時のやりがいを感じました。それが接客を否定され、売上が落ちれば罵倒され、責任まで取らされるようになった。経営陣は責任を取るしかありませんが、社員の方にはなんとか頑張ってもらいたいと思います」

 創業50周年を迎える大塚家具。今年はまさに正念場である。

週刊新潮WEB取材班

2019年2月12日掲載

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