TBSも2時間ドラマを終了、「最近は簡単に犯人が分かる」構造的な理由とは

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「働き方改革」が与える影響

 だが2000年代に入ると、次第に2時間ドラマは人気を落としていく。背景は「様々な原因が複合しています」と、前出の民放関係者は指摘する。

「まず大きな要因として、2時間ドラマを愛してくれた視聴者は高齢者が多く、次第にテレビの前から去られたことがあります。更に近年は、1時間のドラマでさえ録画して観る層が増えています。2時間ドラマで同じことをされると、視聴率の下落が激しく、CM収入が著しく減少するんです。更に制作費の削減で出演者も減少し、どんなに巧妙な脚本を作っても、犯人を当てるのが簡単になった、という指摘もあります」

 制作現場からは、「働き方改革」の影響を挙げる声が多いという。

「ドラマの撮影は、長時間労働を余儀なくされます。予算が潤沢なら人員を増やせばいいわけですが、そんなことはできません。スタッフを減らしながら、更に撮影時間を減らすことになり、不可能であることは誰もがわかっています。おまけに、2時間ドラマの定番であるサスペンスを撮れるチームは、高齢化が進みました。ある意味、たとえ現在も2時間ドラマが人気だったとして、作品をコンスタントに作れる状況かどうかは疑問です」(同・民放関係者)

 あくまでも理論上の話だが、TBSの打ち切りが意味することは、毎週2時間ドラマを放送するレギュラー枠がなくなったことしか意味しない。2時間ドラマ自体の制作が完全に消滅するわけではないのだ。

 具体例を挙げれば、テレビ朝日は「土曜プライム」(午後9時~午後11時6分)で今も2時間ドラマを放送している。ある週はバラエティ番組のスペシャル版が放送されれば、翌週が2時間ドラマ、という具合だ。

 そこまでして2時間ドラマの制作を続けるのには、やはり理由があるという。

「人気ドラマの『相棒』ですが、実は2000年から『土曜ワイド劇場』で放送されたのが原点なんです。今のテレ朝は“第2の相棒を探す”必要から、2時間ドラマの制作を続けています。TBSも同じ理由から、『月曜名作劇場』を放送していました。しかし、こちらは『相棒』のようなヒット作を作れず、打ち切りが決まりました。残念ですが、テレ朝が同じ決断を下すのは時間の問題かもしれません」(同・民放関係者)

 TBSで伝説の単発ドラマと言えば、例えば「昭和四十六年 大久保清の犯罪」がある。1983年に放送され、ビートたけし(72)の演技力に視聴者は度肝を抜かれたものだ。

 こうした単発ドラマは、今後も制作されるだろう。要するに“賞を狙う作品”だが、同じ放映時間でも、これまで見てきた2時間ドラマは根本的にコンセプトが違う。地元グルメが紹介され、温泉が登場し、名探偵が推理を見せる――のんびりとしたシリーズものが、その真骨頂だった。

 Netflixもオリジナルの映画を制作する時代だ。自宅で映画を見る方法も劇的に変わった。2時間ドラマが消え行くのは歴史的必然とはいえ、やはり一抹の寂しさを感じる方も少なくないのではないか。

週刊新潮WEB取材班

2019年2月9日掲載

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