阿部、炭谷、小林……ジャイアンツ“開幕捕手”は誰? 元巨人捕手の評論家がズバリ予測

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小林の“実力”を小田氏が喝破

 素人は、野球を“技術”だけで捉えがちだ。捕手ならリードの巧拙、キャッチング、それに打率といった数字で判断してしまう。

 だが、特にプロ野球の場合、データがプレーしているわけではない。実際に試合を戦うのは選手という名の人間だ。強気か弱気かの性格は試合度胸に大きく影響するし、年齢に代表される人間関係も絶対に無視できない。

 野村克也(83)の“ささやき戦術”は有名なエピソードだ。ベテランの捕手がルーキーの打者を“口撃”すれば、萎縮して打てない可能性は低くない。

 逆に、ベテラン打者が若手の投手と捕手を同時に威圧すれば、内角ぎりぎりの厳しい球は投げにくくなるかもしれない。かのように実際の試合では、下手な技術より精神面がポイントとなる場面は少なくないのだ。

「例えば、私の打率は決して自慢できるものではありません。それでもプロ野球選手として17年の捕手人生を全うできました。つまり捕手に高打率は必須の条件ではないのです。逆に名捕手が必ず持つ資質の1つに、私は“風貌”という言葉を挙げます。炭谷くんは相手選手の心理戦に打ち勝つ“風貌”を持っています。もちろん、阿部さんも持っています。ただ甲斐くんには、そして残念ながら小林くんにも、それはありません」

 小田氏は「ですから開幕捕手の2番手、3番手も、ある意味で予測は簡単です」と言う。先に見た通り、炭谷が開幕スタメンの可能性が高いのだが、2番手は阿部慎之助であり、3番手が小林誠司なのだという。

 高額の資金を使ってFAを行使したのだから、開幕スタメンが炭谷だと予測している人はいるかもしれない。だが、29歳の小林より39歳の阿部のほうが、捕手として勝っているとの指摘に、「意外だ」と驚く人は決して少なくないはずだ。

「誤解のないよう言っておくと、私は巨人OBとして、13年に小林くんがドラフト1位で指名されたことを心から喜びました。そして15年に阿部さんが1塁にコンバートされた時、『これで巨人は優勝する』と思いました。小林くんには誰よりも期待していました。しかし、小林くんが伸び悩んだのは事実です。あれだけの身体能力を持ちながら、阿部さんに現役の捕手として敵わないことは、はっきりしています」

 デイリー新潮は18年11月「巨人・小林誠司のリードを酷評する専門家たち、一人前になれず西武・炭谷を獲得か」の記事を掲載した。

 この記事では、野村克也、江夏豊(70)、西本聖(62)、谷繁元信(48)といった錚々たる投手2人と捕手2人が、小林のリードを批判していることを伝えた。なぜ、小林のリードは評価が低いのか、野球担当の記者が指摘する。

「小林が昨シーズンで記録した盗塁阻止率は3割4分1厘で、これはセ・リーグ1位です。なおかつ巨人としては森祇晶さん(82)以来、56年ぶりの球団タイ記録です。小林も捕手としての適性は持っていたのですが、リード面で著しい成長は見られませんでした。例えば谷繁さんは、昨年4月12日にニッポン放送の巨人―DeNA戦の解説を務め、小林のリードを『どのアウトカウント、どのイニングでも同じような感じがするんです』と首を傾げています。おまけに打率は2割台なのですから、『プロの捕手としては取り柄がない』と言われても仕方がないでしょう」

 一方で巨人には、宇佐美真吾(25)、大城卓三(25)という将来を期待されている捕手もいる。炭谷のFA獲得を批判した野球評論家の中には「若手を育てろ」という意見もあった。

「本当は、それがベストです。宇佐美と大城を実戦で使いながら育てていくのが理想でしょう。彼らは素晴らしいキャッチャーになる資質を持っています。しかし今年の原監督は、優勝が絶対条件です。巨人は5年連続で優勝を逃すわけにはいきません。“優勝請負人”となった原監督としては、若手の成長を待つ余裕はありません。そして、捕手の小林くんが伸び悩んでいることは、優勝への懸念材料だったのも事実です。そこで原監督は、12球団で最高の捕手を獲得して穴埋めした。炭谷の獲得は、極めて合理的な補強です」(前出の小田氏)

 スポーツ報知は1月30日(電子版)、「【巨人】高田&大江コンビが飛躍へ阿部&炭谷から金言授かる『めちゃくちゃ貴重な時間』」と報じた。

 高田萌生(20)と大江竜聖(20)という2人の若手ピッチャーが、阿部と炭谷を相手に投球練習を行ったという内容だ。報知といえば、もちろん巨人の“機関紙”。そして小林については1行も書かれていなかった――。

週刊新潮WEB取材班

2019年2月8日掲載

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