歴代ワーストに並んだ「いだてん」 背景にクドカンへの“無茶ぶり”?

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頭でっかち

「近現代史を題材にすると視聴率が悪いのは、過去の例からもNHKは織り込み済みだったと思います」

 こう語るコラムニストの桧山珠美氏は、

「クドカンのドラマは登場人物が多く、パッと時間が飛ぶのが特徴。まさに初回がそうで、顔見世興行のようでした。場面もころころ変わり、金栗四三がぜんぜん出てこない。志ん生やほかの登場人物ばかり出てきて、役所広司演じる嘉納治五郎を主人公と思った人もいたのでは。そこがまたクドカンっぽくて面白かったのでしょうが、昔からの大河の視聴者は置いてけぼりにされたかもしれません」

 この点について、

「あの展開の早さは、旧来からの大河ファンが離れるだろうな、と思いました」

 と、メディア文化論を専門とする上智大学の碓井広義教授は語る。

「ほかにも問題があります。語り手を実在の人物である志ん生にしたのはいかにもクドカンらしいのですが、演者がビートたけしさんであること。志ん生が高座で落語を演じる体裁で舞台回しをしますが、たけしさんにしか見えないし聞こえません。たけしさんの声が聞き取りづらいのが致命的です。あれでは視聴者が話についていけません」

 致命的な問題、つまり志ん生役にビートたけしを指名したのは、NHKの制作統括プロデューサーである。コラムニストの林操氏は、そのNHKサイドへ指摘。

「主人公が2人もいるのも、いかにも頭でっかちな感じですよね。NHKは五輪をテーマにして2020年に向けて国威を発揚しつつ、陸連や五輪関係者にも気を遣わないといけない。それで、宮藤さんにあれこれと過剰なオーダーをしすぎたのではないでしょうか」

 序盤の失速は、NHKの心臓破りのような無茶ぶり要求が招き、結果、クドカンはハートブレイク……。

週刊新潮 2019年1月31日号掲載

ワイド特集「禍福は糾える縄の如し」より

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