ベトナム戦苦戦の原因は韓国人監督、次のイラン戦は“大迫頼み”という厳しい現実

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動きが秀逸な大迫

 そんな日本のプレーが変わったのは後半からだった。開始2分には右サイドで酒井宏樹がワンツーで抜け出しクロスを送ると、7分には堂安の戻しを遠藤航がシュートするなど縦パスではなくサイドからの崩しが増えた。

 そして後半12分のことだった。その3~4分ほど前のプレーで堂安がペナルティーエリアに入ったところ、後ろから足を引っ掛けられて倒されたもののノーファウルとして主審が流したプレーが、VAR判定の結果PKとジャッジされ、日本は決勝点をもぎ取ったのである。

 1-0とリードしたことと、「今日の段階では90分できない。どのタイミングでプレーしてもらうか考えながら後半の時間帯になった」(森保監督)ことで、後半27分にエースの大迫が満を持して登場。すると、すぐに見せ場を作った。28分に南野拓実のパスを受けるとワンタッチで堂安へつなぐ。堂安はヒールで戻そうとして空振りをしたが、2人は30分にもワンツーからの突破でFKを獲得している。

 大迫は確実にボールを収めることで攻撃の起点となっていた。パスを受けるための動き出し、いわゆるマークを外すタイミングと、ボール保持者の視野に入ってパスを引き出す動きは秀逸で、安心して見ていられる。

 森保ジャパンは昨年9月のスタート以来、大迫、乾貴士、堂安に加え、今大会は負傷で辞退した中島翔哉の4人で、ワンタッチ、ツータッチによる流れるような攻撃を披露してきた。しかし中島の離脱と大迫のケガにより、そのパスワークは今大会で見ることができなかった。

 そのことについて南野は「攻撃の選手がいい距離感でプレーできればいいんじゃないですか」と言い、NHKの解説者として今大会を取材している山本昌邦氏は「中島や南野、堂安らは近い距離でプレーしないと良さが生きません」とも話していた。残念ながら中島の復帰はありえないが、大迫が戻ることで流れるようなパスワークの片鱗が復活したのはイラン戦に向けて好材料と言えるだろう。

 大迫とのジョイントで南野、堂安、原口元気、乾らがどんなハーモニーを奏でるのか。イラン戦では互いの攻撃力の激突が見物でもある。

六川亨(ろくかわ・とおる)
1957年、東京都生まれ。法政大学卒。「サッカーダイジェスト」の記者・編集長としてW杯、EURO、南米選手権などを取材。その後「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。

2019年1月26日掲載

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