「ミス日本」が通う「東大理III」合格者を輩出する「秘密結社」って?

社会2019年1月25日掲載

  • 共有
  • ブックマーク

 今年の「ミス日本」グランプリは、例年以上に大きな注目を集めた。グランプリとなった度會(わたらい)亜衣子さんが、東京大学教養学部理科III類の学生だったからだ。

 多くが医学部に進学することになる理科III類は、東大の中でも最難関。つまり日本で一番入学が難しく、定員は年間100名のみ。

「ミス日本」グランプリに選ばれるのも至難の業であるものの、理科III類に合格するのもまた勝るとも劣らないくらい難しい。簡単に言ってしまえば、その年の全受験生の「トップ100」に入るレベルの頭脳がなければ合格できないのだから。

 仮に「わが子をあわよくば理科III類に入れたい」という野望を抱いている親御さんがいるならば、知っておいたほうがいいデータがある。合格者100名のうち、何と61名が同じ塾出身なのだ(2018年度実績)。

 その塾の名は「鉄緑会」。多くの人は知らないにちがいない。テレビなどでの派手な宣伝は一切なし。教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏によれば「秘密結社のような塾」だというのだ。

「じゃあ、ぜひそこにウチの子を!」

 と考えるのは甘い。そもそもこの塾は「指定校制度」を持っている。つまり一定レベルの中高一貫校の生徒以外には広く門を開いていない。もしもそれ以外から入りたければ、難しい入塾試験に合格する必要があるのだ。

知られざるこの塾について、おおた氏は新著『受験と進学の新常識 いま変わりつつある12の現実』で詳しく解説をしているので、以下、ご紹介してみよう(引用はすべて同書より)。

「鉄緑会の創立は1983年。当時“劇場型”などと呼ばれた大手予備校の画一的な受験指導に疑問を抱いた東大医学部・法学部の学生や卒業生が集まってつくった。東大医学部の同窓会組織『鉄門倶楽部』と、東大法学部の自治会『緑会』から1文字ずつを取り、塾名とした。

 いまでこそ東大合格者数トップ10常連の桜蔭も、実は東大合格者が増え出したのは80年代以降のこと。偶然かもしれないが、鉄緑会の登場と重なる」

 ここで、「もともと優秀な子供を集めているだけでは?」という素朴な疑問がわくかもしれない。実際のところ、そういう面も否定はできないだろう。しかし、「開成や桜蔭レベルの学校も、現役での東大合格率は3割程度だ。しかし、鉄緑会の在籍者は半数以上が現役で東大に合格する」という事実は、やはり塾の指導に意味があることを示していると言えるだろう。

「(生徒を)20~25人程度の学力別クラスに分け、東大や難関大医学部の卒業生である専任講師および院生、学部生が教える。学生講師がほとんどとはいえ医学部(卒業まで最低6年間かかる)在学生や院生が多いので、在籍期間が長くベテランの域に達している者も少なくない。もちろん鉄緑会の卒業生なので、ノウハウも知り尽くしている。

 進学校の中でもトップレベルの生徒たちが集い切磋琢磨する環境。さらに、生の東大生、しかも医学部の学生と常日頃から直に接することで、東大や東大医学部を身近に感じられる心理的効果は計り知れない。

 そのうえで、『ギリギリ』ではなく『余裕をもって』東大に現役合格できる学力を身につけるのが鉄緑会の理念。そこから逆算した6年一貫のカリキュラムがある。この完成度が高い。教材の量も多い。その点は他塾の講師も舌を巻く。これを完全にこなし、絶対に取りこぼしがないように、必要ならば何時間でも居残りさせ、徹底的に指導する。進度も速い。中学3年間の内容を中1で終わらせる」

 いかがだろうか? 「ウチの子にはムリだ……」と痛感した向きもいるかもしれない。おおた氏が取材したある名門校の教員はこう語っている。

「できる子が鉄緑会で合格を盤石にするのならいいのだが、できない子が無理をして鉄緑会にしがみつくとろくなことはない」

 こんな競争のサバイバーのみが入れるのが理科III類。そこからさらに「ミス日本」グランプリにまで選ばれるというのは、いかに低い確率か。それだけは凡人にもよくわかるのである。

デイリー新潮編集部